苦手な人種

電車で座っていると、正面の女の格好が気になったので観察してみた。まず白のテーパードのパンツは、ツータックが入っていて裾はダブルになっている。バランス感覚がオカシくなりそうだ。おまけに裾は短めで三つ折りにした白い靴下が見えている。折るなよ。靴はメーカーもわからない白いスニーカー。マフラーの色はベージュ、コートは紺のピーコートなので最強に相性が悪い。わたしは1年以上服を売っているが、どこであのセットを手に入れられるのか全く見当がつかない。髪型はポニーテールで、ひっつめた額のあいだから細々と前髪が出ている。それはまっすぐと丸い眼鏡をかけた目元まで落ちている。ダサいというより、時代を逆行している。戦前くらいまでいけそう。
そして、あろうことかその女、「少女マンガ魂」を読んでいた。
まずとっさに感じたのは、「ああ、私この人と同じ事やってんだ…」という同属嫌悪だった。次に、「この人に少女漫画を語らせたらどうなるんだろう…」という一種の好奇心、さらに「こうならなくてよかった…」という選択肢としての自分を見た。一体あの人は何故少女マンガ魂を読んでいたのだろう。少し気になる。