祝!DVD発売『アナと雪の女王』脚本伏線完全解説(時系列順)

こんにちは。たぶんアナと雪の女王をそろそろ100回くらい見たような気がします。数えてないけど。

すでに長文の解説「『アナと雪の女王』ジェンダーだけじゃない!アナ雪革命を徹底解剖!」を寄せてはおりますが、改めましてアナと雪の女王の脚本(プロット)にある伏線を表にしてみました。はてな記法すばらしい!他にもあったら言ってね。

分類は、

  1. キャラクターの個性(エルサの恐怖、アナのノーコン、クリストフの人間嫌い、ハンスの他人に合わせるところ、など)
  2. 役割の反転(ハンスの行動をアナが繰り返しアナが王子化する、など)
  3. 関係性の反転(アナ⇔ハンスのYes⇔Yesで始まる関係から、アナ⇔クリストフのNo⇔Noから始まる関係、など)
  4. その他(単なる繰り返しなど)

となっております。

前にも書きましたが、2の関係性が反転した部分と、3の役割が反転した部分が混在しているため、見分け辛いです。

初出 後出 分類と解説
アナがエルサにThe sky is awakeという オラフがスヴェンにThe sky is awakeという 4 単なる繰り返し?
エルサがアナにAre You Ready?と言って雪だるまを作る エルサが国民にAre You Ready?といってスケートリンクを作る 3/4 エルサが他の人のためにも能力を使えるようになったことを示す
エルサの能力の記憶をアナから奪う アナはオラフに夏が来たら解けることを教えない 2 アナのエルサ化
アナが階段から自転車で転げ落ちる For the first time~でアナが階段を滑り降りるが、結局甲冑を壊す 4 アナのノーコン、前方不注意、おっちょこちょい
母の遺影にブローチがある エルサがLet It Goでブローチ付きマントを捨てる 1,2エルサの女王の放棄
アナがジャンヌダルクの肖像にHang in thereという オラフがアナとクリストフにHang in thereという 2, 4
クリストフがスヴェンにWhat do you want?と聞く クリストフがアナにWhat do you want?と聞く 2 アナ=スヴェン
クリストフがスヴェンのリクエストに応える クリストフがアナの頼みを断る 3 当初のクリストフとアナはNo⇔Noの関係
クリストフがスヴェンにWhat's the magic word?と聞きPleaseを付け足す アナが断られた頼みにPleaseを付け足す 1 クリストフの人間嫌い,2,3
スヴェンがニンジンを全部飲みこんでしまい、半分返す スヴェンがオラフの鼻を全部飲み込むが、全部返す 3, 4 食いしん坊スヴェン。とりあえず雪で満足か
アナがNothing is in my wayと歌う アナがSuddenly I bump into youと歌う 4 アナの心境の変化(何にもぶつからないことが良いわけではない)
アナがNothing is in my wayと歌う トロルがThrow a little love in their wayと歌う 4 アナの心境の変化(Fixer Upperの受容)
アナがNothing is in my wayと歌う クリストフがポールにぶつかる 2,4 アナのノーコン、前方不注意が、一緒に歩いて行くクリストフにも影響するが、愛があればFixer Upperが問題にならないことの暗示
ハンスがNothing is in my wayを歌うアナを邪魔する アナがニンジンを探すクリストフを邪魔する、その後スヴェンに歌うクリストフを邪魔する 2 アナの王子化
アナがハンスの顔を見て、責める調子を緩める クリストフは初登場時顔を隠している 3, 4 “知らない人と婚約”の否定と同じ、旧ディズニーの否定
ハンスがアナに怪我をしたかと質問する(答えはNo) アナが北の山について質問する(答えはYes) 2,3
アナがハンスに王女だと自己紹介する アナがクリストフの仕事に皮肉を言う 3 ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
ハンスが王女だと聞いてかしこまる クリストフがアナを厩育ちかと尋ねる 3 ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
ハンスが馬の所為で粗相をし、気まずい空気になる アナがスヴェンのニンジンを投げるのに失敗する 2 アナの王子化
アナがAwkwardなのは状況であって貴方ではないと発言を取り繕う クリストフがMay I? We me?May we?と緊張で文法がめちゃめちゃになる 2 クリストフの王女化
アナが発言を取り繕う時にWait, what?と言う クリストフが発言を取り繕う時にWait, what?という 2 クリストフの王女化
ハンスの馬がハンスと全く同じ行動をする スヴェンがクリストフの歌に対して、「君を除けばその通りさ」と皮肉で返答する 3 スヴェンはいつもクリストフの言うことをすっと聞く訳ではないのです
ハンスの前からアナが急いで立ち去る アナの前からクリストフが追い出され、アナが追うことに 2 アナの王子化
エルサが踊れないといってアナを踊らせる アナがスケートが出来ないというがエルサが出来ると励ます 2,3,4
アナが姉の言葉に寂しさを抑えきれず泣きそうなところ、ハンスが倒れたアナの手を掴む アナがソリから落ちたクリストフを助けるためオオカミに火藁を投げる、崖から落ちそうになるクリストフにピッケルを投げる 2 アナの王子化
手を掴んでくれたハンスの名前を覚えている アナがクリストフの名前を間違える 3 ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
ハンスは何もいわずアナと踊り始める クリストフがアナの頼みを聞く耳を持たず断る 3 ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
ハンスは話に夢中のアナに顔に手をぶつけられる アナはソリに夢中のクリストフに顔にツバをかけられる 2 アナの王子化
ハンスがアナに肩をぶつけてくる アナが“知らない人”クリストフから離れる 3 ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
ハンスが兄弟が無視をしている話をし、アナが同意する クリストフがLove Expertの友人について話し、アナが否定する 3 ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
アナがcrazyな話をしたがり、ハンスが受け入れる アナがハンスの話をするが、クリストフが出会った男との婚約を否定する。アナが話そうとするが、クリストフが止める。アナがクリストフを助けようとするが、判断が信用できないと断られる 3 ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
アナがcrazyな話をしたがり、ハンスが受け入れる アナがクリストフを助けようとするが、判断が信用できないと断られる 3 ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
アナがハンスと歌いながらドアを開ける。 クリストフは一人でスヴェンに歌っている。扉は閉まっており鍵だけが開いている。アナが扉を開ける。 2, 3
アナがハンスのプロポーズを受け入れる(人生に関わること) アナがオラフに真実を告げるのを止める(オラフの生命に関わること) 3ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
アナがハンスのプロポーズを受け入れる(人生に関わること) アナが氷の城にクリストフとオラフが同行するのを拒む(氷はクリストフのlifeなのに) 3ハンス⇔アナとアナ⇔クリストフの関係性の反転
ハンスはアナのすることをずっと笑って受け入れてくれる アナのことを「その通り、完璧に普通の人間だ」と言ってしまう 3, 4 ハンスの猫かぶりを唯一感じさせるシーン
ハンスはアナのすることをずっと笑って受け入れてくれる クリストフは当初、アナのことを信じていない 3
アナがハンスにI'm coming with youと言われる アナがクリストフにI'll let you tag alongという 2,3 アナの王子化 乗っているのもハンスの馬 国を守るハンスが王女化
クリストフがOf course I don't want to help her anymoreとスヴェンに語る 壁を登るところでは助けてくれそうになる 4 クリストフの心情変化
クリストフがThat's your plan? My ice business is riding on you talking your sister?と不信感を表す クリストフがDon't worry about my ice businessと答える 4 クリストフの心情変化

まとめますと、

  • アナは王子化している
  • クリストフはディズニープリンセスっぽい(変な生物に育てられる孤児)し、ラストではアナ化している
  • ハンスの結婚で王座を得ようというのがディズニープリンセスっぽい
  • 脚本は以心伝心の関係に信頼を置いていない
  • 脚本は時に相反する関係性に価値を見いだしている
  • 脚本は時に諍いの原因となる人の欠点は、時として長所であり、またそうでなくても愛で受け入れることができるとしている


ということになります。

この表ではわからない部分としては、
-過去のディズニー作品で良くあった歌の種類を合体させた
というところがありますが、そのあたりは『アナと雪の女王』ジェンダーだけじゃない!アナ雪革命を徹底解剖!の§1-2あたりを読んでください。

ちなみに、『以心伝心の関係に信頼を置かない』『時に相反する関係性に価値を見いだす』『時に諍いの原因となる人の欠点は、時として長所であり、またそうでなくても愛で受け入れることができるとしている』は、逆に過去のディズニー作品では殆どみられなかった描写です。というか、環境についてにそういう歌を歌ってました(思い通りにいかないところもあるけれど、ここでの暮らしは最高さ)。それを人に当てはめるのが作詞・作曲のロペス夫婦の得意技で、『アヴェニューQ』『ブック・オブ・モルモン』の匂いがプンプンする名曲が『Fixer Upper』です。
そのあたりは『アナと雪の女王』ジェンダーだけじゃない!アナ雪革命を徹底解剖!の§8あたりを読んでください。



それでは!