考察

祝!DVD発売『アナと雪の女王』脚本伏線完全解説(時系列順)

こんにちは。たぶんアナと雪の女王をそろそろ100回くらい見たような気がします。数えてないけど。アナと雪の女王 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式…

『アナと雪の女王』ジェンダーだけじゃない!アナ雪革命を徹底解剖!

『アナと雪の女王(以下Frozen)』、大ヒット!本当に嬉しいことです。私も子供の頃ディズニーが好きで、大人になった今もミュージカルが大好きです。13年11月、公開直前にアナハイムのディズニーリゾートを訪れましたが、まだ公開もされていないのにものすご…

無能な公務員に仕事を与えないことを選択した自治体 

サンディ・スプリングス市について調べてみた。 「“独立”する富裕層 〜アメリカ 深まる社会の分断〜」を入院患者の待合室で見た。 一番興味を惹かれた部分は、ジョージア州サンディ・スプリングス市で公務員を消防・警察以外民間に委託したところ。市民サー…

大学生に送るサリンジャー精読その1.『フラニー』と『ゾーイー』を批評する

そうか、この日記には[批評]も[評論]もタグとして存在しないんだな。うーん、学生時代の私って謙虚(HxH風に)。さて、この日記も死に掛けていたけれど、最近英語の副産物で少しばかり評論をしているので、ここに書いてみようと思う。たぶん、多くの学生が私…

やおいとホモフォビアは切って離せないんじゃないかと改めて思った

id:Maybe-naさんの論考やおいの物語は本当に「ホモフォビア」の物語なのかについて。 コメントに寄せられた反論を斟酌してすぐに注意書きを付け加えるMaybe-naさんの真摯な態度を見ていると、横からギャーギャーと申し立てるのも品の無いことに思えたけれど…

『隠喩としての少年愛』は“珍しく”批評精神溢れる少年愛/やおい考

誉めることにしよう。 なかなか信じてもらえないのだけど、わたしは目にしたものは大抵誉める主義なのだ。普段は「魔界のいい人」になるべく人の傷口を嬉々としてえぐり、好んで再起不能にしようと心がけているだけで……。隠喩としての少年愛―女性の少年愛嗜…

『やおい小説論』は論文としてどうなのかしら?

さてと、今年のベストをちゃちゃっと発表する前に恒例のDis行きますかって、本当はねえ、こういう罵倒芸みたいなのもうやめたいんだけどねえ、まあ折角だから対抗言説をあげとくことにするわ。やおい小説論―女性のためのエロス表現作者: 永久保陽子出版社/メ…

〈内面〉論のメチャクチャな発生にみる、大塚英志の論理的欠陥

たまたま吉本隆明『マス・イメージ論』が手元にあるので、大塚英志が割と近年の彼の総括である『「おたく」の精神史 一九八〇年代論』や『教養としての〈まんが・アニメ〉 講談社現代新書』などで少女漫画の通史を作成する際に用いる〈内面〉モデルの成立に…

吉野朔実『エキセントリクス』巻末解説における黒田硫黄と守中高明の「絶望的なまでのすれ違いという相似」は何故起こったのか、『少年は荒野をめざす』『ジュリエットの卵』を引きながら考える、そして『恋愛的瞬間』と少女漫画について(メモ)

少女漫画評論界において「多様である」もしくは「多数である」ということの価値を認める動きが盛んであることは、そして私もその波に半ば自覚的に乗って少女漫画礼賛を続けてきたことは、この日記を読んでいる人なら察しているかもしれない。察していなくて…

男の子が女の子にトキメキまくる少女漫画の潮流「トキメン」を探れ!

自己紹介 lepantoh(以下lep):名前が二つある人は、魂が二つあると言います。そこで今日は対談形式で、岩瀬坪野さんとのインタビュー形式で話を進めていきたいと思います。 岩瀬(以下岩):こんばんは「夢見る学生」岩瀬です。好きな名前が2つあるキャラ…

上野千鶴子氏による「少年愛」の読解(3) 少年はフェミニズムのために生まれたのではない

さて、最終日、いよいよ本題でございます。昨日分では上野氏のジェンダー用語の不安定性を指摘しつつも、その内容そのものは全否定しないという態度をとりましたが、今日は少し手厳しくいきたいと思います。 少女漫画における少年愛の読解が足りず、少年愛作…

上野千鶴子氏による「少年愛」の読解(2) なぜ、よりにもよって“ジェンダーレス”と名付けられたのか?

タイの件でバタバタしており遅れました。すみません。本日は昨日の日記の続きである、上野千鶴子氏による少女漫画の少年愛読解の文章「ジェンダーレス・ワールドの〈愛〉の実験」を読み解きます。 性別やセクシュアリティに関する用語の定義があまりに曖昧であ…

上野千鶴子氏による「少年愛」読解を批評する(1):ミソジナスな「少年愛」を彼女が礼賛する理由

これは、ひどいです。といっても、私は不勉強なので、もしこの文章に対しての反証がすでに成されいるなら教えて欲しいと思います。もし成されていないのだとしたら、その状況も相当に酷いのですが、同時に「これぞ少女漫画評論界!」って感じでもあります(…

今更ながら読んだ川原泉『真面目な人には裏がある』は本当にひどい

漫画関係のブックマークは、時間の許す限り目を通させていただいてるのですが、その中でもはてな界隈を中心に最近最も盛り上がったものは「川原泉のホモフォビア*1」でした。もっと明るい話題で盛り上がれればいいのに、なんだか寂しい話ですね……。とりあえ…

るぱんとーの突撃隣の惑星開発委員会

ちょいと告知が遅れましたが、実は第二次惑星開発委員会にお邪魔させて頂きまして、座談会『BANANA FISH』に参加させて頂きました。名前はね、あまりネットで名前をつけたくなかったんですが岩瀬って名前になってますね。便宜上。狩野都*1みたいに両方苗字っ…

お返事してみます

アンテナに補足されてると思うのでidトラックバックはしません。迷惑かもしれないので(弱) screammachine 『[ながい]自己紹介、読み応えあり。『昴』>>>越えられない壁>>>『テレプシ』に同意。ていうか21才か……同い年くらいかと思ってた……。モーさ…

少女漫画のキャラ/キャラクターから自分の立ち位置を考える

自己紹介でもあるんだけど、もう一度lepantohを自分の中で定義してみる 世の人々が最も自己紹介をするのは4月だと思いますが、私も最近色々自己紹介する機会がありました。かといえども、いきなり「漫画読みです!」と言うわけにも行きませんので、満足に自…

今さら人に聞けない『DEATH NOTE』の話――ネタバレなしレビューに挑戦!

一応完成。ネタバレはあくまで私の基準で「ありません」。100%ネタバレがないことを保障するものではありません。また物語の構造について云々と書き綴っていますので嫌いな方は注意。 銀魂、ネウロ、デスノとジャンプの話ばっかりしている少女漫画読みlepan…

『銀魂』にインスパイアされた漫画家さんについての私見−キャラ萌えと関係性萌えみたいな何か

先月末、花ゆめのレビューをしましたが、そこに入っていない作品はただ単に読んでいなかっただけだったりします。で、その読んでない作品のうちに、おそろしく狭い範囲で『銀魂』のパクりでは?といわれていた漫画が入っていました。アニメ化の際訪れた少年…

少女漫画読みの視点についての雑感/乙女ちっくと萌えの劣等要素は一緒か?

なんか俺こんなことしてる場合じゃないんだろーけど、逃避混じりで物書きは続くよ。 さて、ユリイカ2006年1月号 特集=マンガ批評の最前線の話なんだけど、まず最初にちょっと脱線。私は、ある大好きなネット論者さんが、ある作品を使ってキャラ/キャラクタ…

いくえみ綾と藤原よしこを分けるもの試論

4日ほど関係の薄いテキストを挟んでしまったけれど、今日はまた漫画の話に戻ろう。この「似ているなァシリーズ」はまず“マフィアのボスであるパパ殺し”のBANANA FISH&パームシリーズから始まり、次に“淫売ママンへの生贄からの脱出”としてのジェラールとジ…

『イティハーサ』と『ワン・ゼロ』の共通構造

ポスト24年組による、『メッシュ』以降に描かれたSF作品である 水樹和佳子『イティハーサ』1986〜1999、文庫全8巻*1 佐藤史生『ワン・ゼロ』1984〜1987、文庫全3巻(単行本では4巻) 主体性を奪う宗教との対立、宗教的な安定と平和の否定 目に見えぬ神々…

1、父に反抗する時だけ主体的な少年主人公は男性的なあだ名を持つ

そもそもこの二人の名前が似ている。 メッシュ(本名フランソワーズ・アン・マリー・アロワージュ・ホルヘス)とアッシュ(本名アスラン・ジェイド・カーレンリース、養子縁組後はアスラン・ジェイド・ゴルツィネ)だ。母親によって名づけられたという点まで…

3、女性的/男性的ジェンダー・ロールを同時に押し付けられる

メッシュ、そしてアッシュが父親からひたすらに押し付けられるのは“役割”そのものである。それは時に男娼の形を、時に少女の形を、そして共通するものとしてマフィアの跡継ぎの形をとっている。メッシュ、アッシュはその(内容を問わない)“役割”というもの…

『メッシュ』と『BANANA FISH』――対父性の物語

更新ほぼ終了しました(まとめ以外)。とりあえず、序とまとめだけ読めばいいようにまとめを練っています。今のところBANANA画像なしです。わかりにくいのでいずれ追加予定です。 個人的に、『メッシュ』は萩尾望都の初期作品『雪の子』*1や『トーマの心臓』…

8、まとめ

後で書く。

7、〈母〉という死への回収

李月龍(リー・ユエルン)という登場人物がいる。彼はアッシュと同じく男娼のような少年時代を過ごした。マフィアの妾の子として生まれたが、母はその血族によって目の前でレイプされ、惨殺された。アッシュと同じく人を殺す訓練を受けたが、アッシュが与え…

5、英二による〈母〉の代行――BANANA FISHのみに関するテキスト

『BANANA FISH』は、男娼上がりの天才不良少年アッシュ・リンクスと、とりわけ目立ったことがないが純真で見返り無くアッシュを愛する奥村英二の心の交流を描こうとする。そこで、奥村英二がまるでアッシュの〈母〉を代行するようなシーンがある。フェリーの…

4、ギムナジウム的男性単一社会の崩壊/少年愛の消失

更に言及するならば、ここでのメッシュのせりふ「寄宿舎で暮らす子どもには」には大きな意味が含まれている。つまり、ギムナジウム的閉塞した男性社会はもはや彼にとって何らかの意味をもたらすものではない、ということだ。今まではまるで、ギムナジウムの…

少年主人公は〈淫乱呼ばわりをされる子を捨てた母〉に憧憬を寄せる

メッシュの母はメッシュが2歳の時に別の男と逃げ、それは、父がメッシュを疎む直接の原因になった。アッシュの母は、アッシュの兄であるグリフィンの母を追い出したが、アッシュを産むとまた別の男と逃げた、アッシュも認める「あばずれ(vol.2 p.228)」で、…