2005-12-12から1日間の記事一覧

1、父に反抗する時だけ主体的な少年主人公は男性的なあだ名を持つ

そもそもこの二人の名前が似ている。 メッシュ(本名フランソワーズ・アン・マリー・アロワージュ・ホルヘス)とアッシュ(本名アスラン・ジェイド・カーレンリース、養子縁組後はアスラン・ジェイド・ゴルツィネ)だ。母親によって名づけられたという点まで…

3、女性的/男性的ジェンダー・ロールを同時に押し付けられる

メッシュ、そしてアッシュが父親からひたすらに押し付けられるのは“役割”そのものである。それは時に男娼の形を、時に少女の形を、そして共通するものとしてマフィアの跡継ぎの形をとっている。メッシュ、アッシュはその(内容を問わない)“役割”というもの…

『メッシュ』と『BANANA FISH』――対父性の物語

更新ほぼ終了しました(まとめ以外)。とりあえず、序とまとめだけ読めばいいようにまとめを練っています。今のところBANANA画像なしです。わかりにくいのでいずれ追加予定です。 個人的に、『メッシュ』は萩尾望都の初期作品『雪の子』*1や『トーマの心臓』…

8、まとめ

後で書く。

7、〈母〉という死への回収

李月龍(リー・ユエルン)という登場人物がいる。彼はアッシュと同じく男娼のような少年時代を過ごした。マフィアの妾の子として生まれたが、母はその血族によって目の前でレイプされ、惨殺された。アッシュと同じく人を殺す訓練を受けたが、アッシュが与え…

5、英二による〈母〉の代行――BANANA FISHのみに関するテキスト

『BANANA FISH』は、男娼上がりの天才不良少年アッシュ・リンクスと、とりわけ目立ったことがないが純真で見返り無くアッシュを愛する奥村英二の心の交流を描こうとする。そこで、奥村英二がまるでアッシュの〈母〉を代行するようなシーンがある。フェリーの…

4、ギムナジウム的男性単一社会の崩壊/少年愛の消失

更に言及するならば、ここでのメッシュのせりふ「寄宿舎で暮らす子どもには」には大きな意味が含まれている。つまり、ギムナジウム的閉塞した男性社会はもはや彼にとって何らかの意味をもたらすものではない、ということだ。今まではまるで、ギムナジウムの…

少年主人公は〈淫乱呼ばわりをされる子を捨てた母〉に憧憬を寄せる

メッシュの母はメッシュが2歳の時に別の男と逃げ、それは、父がメッシュを疎む直接の原因になった。アッシュの母は、アッシュの兄であるグリフィンの母を追い出したが、アッシュを産むとまた別の男と逃げた、アッシュも認める「あばずれ(vol.2 p.228)」で、…

2、「反抗」対象としての父と「戦闘」の発生

拙稿『メッシュ精読』での定義をもう一度持ち出させていただくなら、自らの役割を押し付けようとして反発を引き起こす父親との軋轢が「反抗」であり、これは大抵「戦闘」を伴う。また主人公の〈主体のようなもの〉はその戦闘においてのみ見え隠れする――とい…