2005-01-01から1年間の記事一覧

lepantoh的2005年面白かった漫画ベスト10

あーっはっはやるべきこと全て後回しにしてキングダムハーツⅡをクリアしてましたよ。ゲームって恐ろしい。そんなことよりもここは漫画日記なんですよ!だから漫画総括だけはやりますよ! 1位 岩明均『ヒストリエ』1〜3巻 1,2巻が2004年のベストだったので、…

更新情報

とにかく評論対象の作品、作家がキーワード化されていないのでどうしようもありません。助けてください。とりあえずキーワードにしないと話にならないもの。 T・E・ロレンス 佐藤史生 ワン・ゼロ 水樹和佳子 イティハーサ

ただいま長期評論中です。

本来は四日で完結するつもりでしたが、筆者の遅読の所為で予定をオーバーしてしまいました。 最終的な完成予想図 序・『メッシュ』精読――少女漫画の80年代 反抗対象としての父――マフィアのボスを殺せ!『メッシュ』と『BANANA FISH』←いまここ 主体性を封印…

『イティハーサ』と『ワン・ゼロ』の共通構造

ポスト24年組による、『メッシュ』以降に描かれたSF作品である 水樹和佳子『イティハーサ』1986〜1999、文庫全8巻*1 佐藤史生『ワン・ゼロ』1984〜1987、文庫全3巻(単行本では4巻) 主体性を奪う宗教との対立、宗教的な安定と平和の否定 目に見えぬ神々…

1、父に反抗する時だけ主体的な少年主人公は男性的なあだ名を持つ

そもそもこの二人の名前が似ている。 メッシュ(本名フランソワーズ・アン・マリー・アロワージュ・ホルヘス)とアッシュ(本名アスラン・ジェイド・カーレンリース、養子縁組後はアスラン・ジェイド・ゴルツィネ)だ。母親によって名づけられたという点まで…

3、女性的/男性的ジェンダー・ロールを同時に押し付けられる

メッシュ、そしてアッシュが父親からひたすらに押し付けられるのは“役割”そのものである。それは時に男娼の形を、時に少女の形を、そして共通するものとしてマフィアの跡継ぎの形をとっている。メッシュ、アッシュはその(内容を問わない)“役割”というもの…

『メッシュ』と『BANANA FISH』――対父性の物語

更新ほぼ終了しました(まとめ以外)。とりあえず、序とまとめだけ読めばいいようにまとめを練っています。今のところBANANA画像なしです。わかりにくいのでいずれ追加予定です。 個人的に、『メッシュ』は萩尾望都の初期作品『雪の子』*1や『トーマの心臓』…

8、まとめ

後で書く。

7、〈母〉という死への回収

李月龍(リー・ユエルン)という登場人物がいる。彼はアッシュと同じく男娼のような少年時代を過ごした。マフィアの妾の子として生まれたが、母はその血族によって目の前でレイプされ、惨殺された。アッシュと同じく人を殺す訓練を受けたが、アッシュが与え…

5、英二による〈母〉の代行――BANANA FISHのみに関するテキスト

『BANANA FISH』は、男娼上がりの天才不良少年アッシュ・リンクスと、とりわけ目立ったことがないが純真で見返り無くアッシュを愛する奥村英二の心の交流を描こうとする。そこで、奥村英二がまるでアッシュの〈母〉を代行するようなシーンがある。フェリーの…

4、ギムナジウム的男性単一社会の崩壊/少年愛の消失

更に言及するならば、ここでのメッシュのせりふ「寄宿舎で暮らす子どもには」には大きな意味が含まれている。つまり、ギムナジウム的閉塞した男性社会はもはや彼にとって何らかの意味をもたらすものではない、ということだ。今まではまるで、ギムナジウムの…

少年主人公は〈淫乱呼ばわりをされる子を捨てた母〉に憧憬を寄せる

メッシュの母はメッシュが2歳の時に別の男と逃げ、それは、父がメッシュを疎む直接の原因になった。アッシュの母は、アッシュの兄であるグリフィンの母を追い出したが、アッシュを産むとまた別の男と逃げた、アッシュも認める「あばずれ(vol.2 p.228)」で、…

2、「反抗」対象としての父と「戦闘」の発生

拙稿『メッシュ精読』での定義をもう一度持ち出させていただくなら、自らの役割を押し付けようとして反発を引き起こす父親との軋轢が「反抗」であり、これは大抵「戦闘」を伴う。また主人公の〈主体のようなもの〉はその戦闘においてのみ見え隠れする――とい…

評論の記法について

〈山かっこ〉で囲まれた言葉は役割を示します。漫画内のジェンダー・ロールと言い換えても可です。 〈少女〉〈非少女〉〈不確定な自己〉〈白痴〉〈支配する父〉〈封印する母〉などといった使われ方をすると思います。 「かぎかっこ」で囲まれた言葉は、普通…

少年愛

『メッシュ』以降崩壊するもののひとつ。『ニューヨーク・ニューヨーク』で主人公のケインがパートナーのメル(共に男性)についてこう語る場面がある。 同性愛を神への冒涜と考える者もいる 俺の母親は…神聖なものを何よりも重んじる 俺は熱心なクリスチャン…

ギムナジウム幻想*1

24年組の一つの特徴として語られるもの。木原敏江『摩利と新吾』に最も強く見られる*1。代表作は萩尾望都『トーマの心臓』『11月のギムナジウム』『ポーの一族』、竹宮惠子『風と木の詩』など。 狭くはギムナジウムそのものを描いた「ギムナジウムもの」と言…

〈母〉の死/〈母〉の愛の喪失

『トーマの心臓』におけるエーリクとオスカーの母、『ポーの一族』のエドガー『風と木の詩』におけるセルジュとジルベールの母、『摩利と新吾』における摩利・新吾は母を実際に亡くしている。初期萩尾望都もしくは24年組においての〈母殺し〉は多く指摘され…

〈少女〉と〈非少女〉

宮迫千鶴の『超少女へ』で指摘された萩尾望都作品内の性(ジェンダー)とでも言うべきもの。少女漫画を読む上で非常に良い指針となる偉大な発明。定義がとても簡潔で良い。 〈少女〉……〈認識行為〉と〈主体性〉を封印し、繭にこもって王子様を待つ少女 〈非…

少女漫画の1970年代――『メッシュ』以前

一般的に語られる「24年組らしい」と思われる要素は以下のものを基準にしていることが多いのではないでしょうか?そして、それを古き良き少女漫画と思っている人も多いのでは。しかし、それはすべて『メッシュ』で覆されています。少女漫画の1980年代を振り…

あとがき

とても時間がかかってしまい、文章はメチャメチャ。手直しするたびに崩壊していって死にたくなった。これからもちょくちょく直す。すごい長いし(これでも〈少女〉の話を削ったのでとても短くなっている)、誰が読むの!?と思ってる。タグもわからなくて本当…

メッシュのラスト――「殺したといいますか生かしたといいますか」とレヴィは言う

メッシュは〈他者の欲望の鏡〉としての存在を母親の前に差し出し、それを選択するのはメッシュ自身ではなく母だった。そのことで、〈選択権〉とでもいうべき〈自主性〉を「喪失」してしまうことがラストに暗示されている。メッシュは母の再婚相手から、父サ…

父の殺人という自己肯定、母による肯定のための自死

【画像3】を見ていただければわかるように、メッシュは自分を一度は否定し、その後もう一度認めたともいえる父に対して殺意を剥き出しにするのに対し、自分を捨てた母への憧憬のようなものを口にする。一方、殺人に失敗したメッシュ【画像1】は、死んでも…

他者の欲望を写す鏡、メッシュ、ことフランソワーズ

作中でメッシュは美少年として描かれており、幾度も女装をする。性別の間を自由に揺れ動くメッシュのイメージは著しく不安定で、全11話中ミロンのエピソードを除けば全てである10話で「他人の欲望するイメージを被せられている」。ここで、エピソードのおさ…

少女漫画の80年代――『メッシュ』を精読する 何故父親を殺さなければ/母親に殺されなければならないのか?

あいつを殺せたらあとはどうなってもいいんだ あと自分が狂おうが死のうがあいつさえいなくなればいいんだ あいるがいる限りオレは人間にはなれないんだ 一生あいつにおしつぶされるづけるんだ(『メッシュ』vol.1 p111) 【画像1】 萩尾望都作品は80年におい…

更新不可能のお知らせ

『メッシュ』を精読しようとおもったのですが、今日の日付中は無理そうです。一応出来てはいるんですが、汚いので……もうすこし、見直して明日の朝上げます。もしかしたら、二週間がかりの大仕事になるかもしれません。これは、いわば「今回の前提条件」で、…

更新のお知らせ

更新が終了しました。 id:lepantoh:20051131 アグネスホテルのアフタヌーンティー(食べ物についてなんて初めて書いた…) id:lepantoh:20051201 摩利と新吾について id:lepantoh:20051202 銀魂と清く柔くのレヴュー id:lepantoh:20051203 少年魔法士のネタバレ…

今後の更新予定のお知らせ

前日の日記で予告したように、本日より数日間において、久しぶりに少女漫画の批評をしようと思います。思えば2年前、批評をする場をもとめてはてなダイアリーを開設し、なんとか少女漫画出産史を上梓しましたが、いつのまにか日々の日記や漫画の感想を書き散…

『少年魔法士』13巻 なるしまゆり なぜ?お願いあの子を消さないでレヴィを殺さないで

少年魔法士 (13) (ウィングス・コミックス)作者: なるしまゆり出版社/メーカー: 新書館発売日: 2005/12/25メディア: コミック クリック: 36回この商品を含むブログ (39件) を見るわーい♪画像来てる!鉄壱智とは違って原色を使うことが多い魔法士の表紙。今回…

手が切れる漫画が好き

暇人なもので。 私はスプラッタは嫌いですが少年魔法士のスプラッタは好きです。以下ネタバレるので白。今巻とってもびっくりしたのは、カルノが人魂の食べすぎで手足の制御権を失ってしまった――というところです。動かなくても自分に暗示をかけてP.K.で行動…

清く潔く いくえみ綾 少女漫画を描けるのはこの人しかいないのかも

潔く柔く 2 (マーガレットコミックス)作者: いくえみ綾出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/11/25メディア: コミック クリック: 11回この商品を含むブログ (131件) を見るなんか最近読むもの読むもの面白くって……誉めてばっかでごめんなさい。でもそれ以上…