清く潔く いくえみ綾 少女漫画を描けるのはこの人しかいないのかも

潔く柔く 2 (マーガレットコミックス)

潔く柔く 2 (マーガレットコミックス)

なんか最近読むもの読むもの面白くって……誉めてばっかでごめんなさい。でもそれ以上に、今日まで清く柔く買わなくてごめんなさい!いや、あの思いのほか七種が楽しくって……それでなんか今日まで色々とその……。償いといっては何ですがこの称号を受け取ってください。
【認定】ド傑作。
もう三日に一遍はそんな言葉を口にしている気がしますが……まさかあの平凡な一巻からこんな展開が待っているとは というか平凡なまんまなんですよ二巻も でも一巻と二巻を合わせて読むとすごい化学反応が起こるんですあたしの胸の中でバチっと これをこのバチッを何て呼べばいいのか こんなのたまにしか起こらないんです でもそのたま〜のバチッに一応名前がついてるんです でもその名前のものを探したら いつもこれがバチになるかっていうと そうでもなくって でも多分それは 「少女漫画」と呼ぶしかないもので……
すごいのよ とにかく
ただ 私のセンスって私自身に対してもいまいちあてにならないのね これって別に 周りを見下していってるんじゃないの ううん むかしはそういうこともあったんだけど わたしって ほかのひとと違うから みたいな…… でもこれは そういうんじゃなくて わたし いくえみ綾の『I LOVE HER』がちっとも面白くない、って思っちゃうの mixiでみんな誉めてるから もう一回だけっておもって読んでみたんだけど ぜんぜんひとつも ピン、とこなくって…… だから 私の好きな作品を挙げておこうかなって思ったの*1
『バラ色の明日(とりわけ、エンジェルベイビーとWho?)』は全編とても良かったと思うし 『アイスクリームチョコレート』と『ラブレター』は 茅野くんが出てこなくっても好きだと思うわ 上記作品が好きな方は是非是非読んで見てね
 
さて。私の中でいくえみ綾はセックスを描かない人だったんだけど(あ、ふしぎな男の子で描いてたか)、かの人や月の妹さんあたりから頻繁に朝チュンしはじめましたね。でもやっぱりセックスは話の中心になくって、そうじゃないのに人をハラハラドキドキさせるのは本当にすごいこと、だと思います。小物や小さいエピソード、台詞回し、そしてモノローグの使い方がすべて卓越しているから出来ることなのだろうな、と思います。今巻では前巻に登場した男の子二人がまた恋される側として出ていて、「バルバラ異界ポーの一族だ!」とかバカなこと言っている暇があるなら*2、この物語を読んだ方がいいと思います。こちらのほうがよりポーっぽい*3。時系列も場所も分断された女の物語に顔を出す男。ひとつひとつが切ない女性のものがたりとして完成しているだけでなく、全てをつなげて読むと男たちの人生が浮かび上がる――というこの構成は、流石の一言。茅野のsex ray*4にやられていた私ですが、この漫画の二人の男も同じくらいとてもとても格好良く思えます。
 
黒田硫黄の言葉回しを借りるなら、ショウジョマンガを買って少女漫画を読めることは実はとても少なく、ショウジョマンガ風味とかショウジョマンガ添えだったりすることがよくあるのですが、それはいくえみ綾――私がはじめて邂逅した少女漫画家――が私の中の少女漫画の定義を作り上げてしまったからだと思った一冊。とても幸せ。

*1:ちなみに世界で一番いいと思う曲もiTMS USでものすごく人気がないの

*2:誰が言ったのか忘れたけどさ

*3:といっても私はトーマもポーもとりわけ好きではない萩尾信者なので誉め言葉としては微妙なわけですが。ほんとに似てると思っただけの話

*4:セクシー・ビームを英語で言うとこうなるんだよfrom "Joey"