『イティハーサ』と『ワン・ゼロ』の共通構造

  • ポスト24年組による、『メッシュ』以降に描かれたSF作品である
  • 主体性を奪う宗教との対立、宗教的な安定と平和の否定
      • 目に見えぬ神々の信徒が、目に見える神々である亞神・威神と対立(イティハーサ
      • 魔の立場から、仏教の神々と対立(ワン・ゼロ)
  • 主体性を奪う平安をもたらす神は女神である
  • 極楽浄土の形成と<認識行為>の剥奪
      • 人を殺めた過去を忘れ幸せに暮らせる「不二の里」(イティハーサ
      • 菩薩化した穏やかな人々の「アクシャラ・コミューン」(ワン・ゼロ)
  • 特殊能力をもつ主人公と「悪」側の仲間
      • 主人公鷹野は神を剣で斬れる→妹は悪の末裔→妹に加担して天音を消す(イティハーサ
      • 主人公トキはアートマンの片割れ→友人は魔の末裔→魔に加担、神になった妹を殺す(ワン・ゼロ)
  • 超越的視野の拒絶とアイデンティティへの固執(自我境界の喪失を伴う超越体の拒否)
  • 味方の善悪両義神は男性の形を取り、また消滅する
  • 結果として残される、〈産まない両性具有者〉と「融合」
      • いかなる神にも属さない夜彲王(やちおう・男)と融合する透祜(とうこ)(イティハーサ
      • アートマンになることを拒否し、双子の妹を殺すが融合するトキ(ワン・ゼロ)

*1:ただし、通常の文庫よりもかなり厚く一冊820円もする。連載誌から切り捨てられるという憂き目にあい、コミックスの冊数がよくわからない形式で終了してしまった。実際は単行本17巻程の長さがある