原獣文書(1〜7)なるしまゆり
はー、やっぱなるりはスゲェなぁ。以前『少年魔法士』のキーワードは「器」だとゆー話をしたことがあって、カルノは高等な魔を受ける器、レヴィは考えぬ肉としてのお飾り祭司の器、アークは英霊の器で、レヴィとアークが「器」に対しとる行動が対照的だっていう話をしたんですね。で、原獣文書では主人公のレイ・ジーンがルノーのための「器」と表現される。私って慧眼(笑)。
ここでの「器」というのは、何度も言うとおり自分の主体性と認識行為を封印してしまい、運命とやらに身を任せ、自分の定められた役割を演じてしまうことのメタファー。レイ・ジーンは自らの中に恐ろしいほどの知識欲、“知りたい”という気持ちを抱える人間で、そんな彼が「器」にさせられてしまうというのは、認識行為を母に封印されるレヴィと同じ構図。さらにレイ・ジーンの次に“知りた”がりのアルビレオも、ゼーンの罠で「女」に分化してしまい、自分の足で歩くことも出来なくなる。ゼーンに背負われた檻の中で、ゼーンが殺す人の数を数えること位しか出来ない。この辺りの構図と描写は見事だと思いました。
何よりもゼーンが物凄く魅力的で、自分を犠牲にしても新人類を救おうという裏返しの優しさには絶句。それに対するアルビレオの答えも良かった。レヴィと同じく自己犠牲から解放されるといいけど。
しかし人間関係が複雑だなぁ。静馬はまきをが好きで、まきをはゼーンが好きで、ゼーンはレイ・ジーンとアルビレオが、アルビレオはゼーンとレイ・ジーンが、レイ・ジーンは静馬が好きと。正直カップリングは興味なし。ゼーンの母モールドレがどう描かれるか気になるなー。あとキム女史の眉毛、あれはないよなー。メイクを研究してああはならんぜよ。そこらへんうるさいよ私は。