ツール・ド・フランス2004総括

Lance Armstrong!I can't believe it!He can do everything!*1としか言いようがない。個人ステージ優勝五回、チームタイムトライアルステージ優勝、ステージ二位二回。総合優勝、山岳賞二位、スプリント賞六位。完璧な優勝でしょう。6連覇おめでとう。
若い世代への世代交代を印象付けるツールだったといわれますが、私は逆に25〜27・8才あたりの層の薄さを感じたツールでもありました。。。21〜24あたりには楽しみな選手(しかもイケメン)がいっぱいいて、あと10年待てば、ベルトリアーティ・カンチェッラーラあたりがクネゴやウラジーミル・カルペツ君に追いついたりして、スプリンターもキアラ王子とトム・ボーネンあたりの争いになるのかも知れないじゃないですか。それはすごいすごーい楽しみで、優秀な人材が揃ってるな、と予感させるんですけど、一方その少し上の世代がどうもぱっとしない。ポストポストアームストロング世代が活躍して、ポストアームストロング世代はどうも活躍しなかったツールという気がするんです。やさしすぎるハミルトン、昔の方が強かった気がするセビリャ、未だエースになりきれないシャバネル、少女漫画のヒーローのような全てを兼ね備えた男の虚無を感じさせるバッソ、勝てば勝つほどプレッシャーでダメになるペタッキ、内省的なマヨ、マイヨジョーヌ・マジックに救われつつ結果全てのマイヨを失ったヴォクレー(ボエックラー)などなど、この世代、もちろん良いところもたーくさんある選手達ですが、その影の部分も見えてしまったツールだったと思います。そういえば最終日、栗村さんが「クネゴはもう精神的な理由でグランツール勝てないんじゃないかと心配している」みたいなこと言っていましたけど、誰か理由を覚えていらっしゃいますか?私は忘れてしまいました。

私にとっては、はじめてウルリッヒに惚れ込んだ年になったのでした。
栗村修さんも今年の名シーンで一番にあげていた第15ステージのウルリッヒのアタック。「僕は今までウルリッヒはそんなに……って感じだったんですけどあれでグッと心を掴まれました」と言うクリリンの意見に禿げあがるほど同意します。ウルかっこえかった。心が奮いたてられた。実況でも「ウルかっこよすぎ!漏れはウルたんになら掘られてもいい!」と叫んでいる人がいましたが、逃げていくウルからはものっすげぇ量の漢オーラが出ていました。僕もきみも私もそれにあてられたんだと思います。
それからはひたすらウルたん応援。ステージ優勝をタイムトライアルで獲らないかなぁと楽しみにしていたのですが……重戦車ウルリッヒ対オートバイランス。ランスのモーターには負けます。
でもあそこまでの不調から二日で回復し、二位につけるウルたんすごい。タイムトライアルのフォームの美しさ、重いペダル、そして一時間九分台のゴールには思わず「かっこいい!」と叫んでしまいました。やっぱりランスとウルリッヒの二人は他と格が違います。いつもウルたんのコンディションが悪いだけで……。
今年の何がダメだったって、エースの山岳アタックがあまりになかったことですよ。そりゃあマイヨ・ジョーヌのスプリントは面白かったですけど、すげー伸びてましたけど、車体ゆれてましたけど、でも集団ゴールなんですよ。集団ゴール。集団ゴール!集団ゴール…っ!しかもバッソとの登りもアタック合戦というより先頭交替に近い感じだし(振り離そうとしていたみたいですが、バッソはコバンザメだし)、実はライバル総脱落で際立たなかっただけで、今年のランスも物凄い省エネ型だったわけで。NASAのド阿呆。観客としてはパンターニとランスのモンバントゥとか、去年のラルプデュエズやリュズアルティダンのようなアタック合戦を見たいんですね。いつもアタック合戦のかぶら矢となるクリストフ・モロー大先生のスポークは折れるし。何もこんなところでマモノたん暴れなくても。
で、となると今年のアタック(ノット逃げ)はウルたんのアタックとシモーニヴィランクの頂上争い、あとはサストレあたりに限られてくるわけで、その中ではやっぱりウルたん意地のアタックに一票入れます。ごめんシモーニ。おうち帰りたいぽからよく頑張ったシモーニ。でもウルたんのブス可愛パワーには勝てなかったよシモーニ

本当に今年のモローは素晴らしかった。2001年のモローの2連落車やぶん殴りとかハスホフト足痙攣とかで、農協(クレディ・アグリコル)は一躍ネタ集団になったわけですが、去年はファッサボルトロに押され気味。落車があるたびに「きっと先生がまきびしを……」とか言ってますけど、そんなの妄想でしかないわけ。でも今年のモローはマジでネタ師だったわけです。石畳で遅れたのにのんびりしてるし、山岳では何してるのかよくわかんないままベッティーニに競り負けるし、ヴィランクシモーニと逃げるも遅れそうになって待ってもらうし、スポークは折れるしパリで落車するし、アシストはするし先頭交代しないし。
先生のインタビューとか本当に感動します。彼のプランは、ヴィランクと一緒に逃げて山岳ポイントを稼ぎつつマイヨジョーヌをゲットすることだったんですよ?こういう上を見る姿勢ですよ、私が見たいのは。マイヨ・ジョーヌマイヨ・グランペールを同時に狙う先生を来年見たいです。総合狙いの選手は大変だと思い知らされた年でした。しかし今年もフランス人最高位、フランスで一番マイヨ・ジョーヌに近い男の地位は守り抜きました。

*1:このCMまだ見れます?NIKEのHPに見つからないのですが