『ロミオとジュリエット』シュツットガルトバレエ団 12日マチネー

Romeo & Juliet

Romeo & Juliet

オペラ座の怪人』に次ぐ人生二度目の強烈観劇体験。今年6回目の観劇で漸く今年を代表する出会いを果たしました。これは凄い!そりゃあ私は世界中の芸術媒体の中で最も漫画を愛する漫画原理主義者です。しかしながら舞台芸術っていうのは、もう全方向からバリバリ射撃してくるわけですよ。五感フル刺激。この場合、題材最高、音楽最高、振付最高。三拍子揃った名作が琴線触れまくり!『ロミオとジュリエット』を観る旅、と称して世界を回りたいくらいです。
元々は音楽が聞きたくて観ようと思ったのですが、mixiを通じてクランコ版はオススメ、という情報も仕入れ、ますます高まる期待。
そして期待通りの結果!
実際、一昨日見たもっともポピュラーなマクミラン版よりも、いいところがいっぱいあった。最初の市場のシーン、とりわけ抗争の時に肩をぶつける振付と吹っ飛ばされるナヨいフリーデマン・フォーゲルのロミオは面白かったです。また、『騎士たちの踊り』での素晴らしい衣装、バルコニーのシーンでのジュリエットの恥じらいとロミオの弾けるような若さの表現、最後バルコニーにぶら下がってキスするところ、そしてマキューシオの頭の横で手をまわすおどけたポーズと、それを上手く利用した『マキューシオの死』の踊りなどはマクミラン版よりも大きく秀でて見えた部分に思えました*1。ただ、エンディングでのロミオと仮死ジュリエットの踊りがクランコ版にはないので、その点はマクミラン版も良かったんだけどね。
キャストについては、これしか観ていないのでよくわからないのだけど、とにかくフリーデマン・フォーゲルの見た目はまさにロミオといった雰囲気で、髪の色と髪型、眉と鼻筋などまさにロミオそのもの。アマトリアンも同じで、可憐な雰囲気のハマり役。個人的にはマキューシオ目当てで観にいったので、ザイツェフの評価もとても高い。いつでもニコニコしてて、ティボルトとの対戦時も人を茶化しているというより童心っぽい雰囲気がドツボにはまりました*2。あの死に方は反則……あれを見て恋をしないひとがいるのでしょーか。
その後私はシンガポールに行ったんだけど、HMVマゼール指揮・クリーヴランド交響楽団の『Romeo and Juliet』を発見。向こうはCDが安いんで、もちろん購入。全体の再生回数がもう10回近くなるほどのヘビー・ローテでありとあらゆる機会にこれを聞いてます(今も!)。ポチしてもはてなさんのアフィリエイトにお金が行くだけなので躊躇わずに買っちゃってください。いっとくけどモノスゴイですよ。
 
バレエ音楽の頂点、かつ天才プロコフィエフ最高傑作と言われる音楽の中でも気に入りの曲は…

  • Disk1

1.Romeo And Juliet: Intro
3.Romeo And Juliet: Act I Scene 1: The Street Awakens/Morning Dance
4.Romeo And Juliet: Act I Scene 1: The Quarrel
5.Romeo And Juliet: Act I Scene 1: The Fight
9.Romeo And Juliet: Act I Scene 2: Arrival Of The Guests (Minuet)
10.Romeo And Juliet: Act I Scene 2: Masks
11.Romeo And Juliet: Act I Scene 2: Dance Of The Knights

13.Romeo And Juliet: Act I Scene 2: Mercutio
17.Romeo And Juliet: Act I Scene 2: Balcony Scene/Romeo's Var/Love Dance
19.Romeo And Juliet: Act II Scene 1: Romeo And Mercutio

  • Disk2

4.Romeo And Juliet: Tybalt Meets Mercutio - Tybalt And Mercutio Fight, Mercutio Dies
5.Romeo And Juliet: Romeo Resolves To Avenge Mercutio's Death - Finale
6.Romeo And Juliet: Introduction (Act Three)
7.Romeo And Juliet: The Last Farewell
14.Romeo And Juliet: Morning Serenade
17.Romeo And Juliet: Juliet's Funeral - Death of Juliet

特に太字は葬式で流してほしいッ!ってくらいの名曲中の名曲。ヘビロテ中。
プロコについても色々勉強してるところなんだけど、「語られることの少ない天才」「大衆とのギリギリの迎合」「わかりやすいのに現代的」「運命的かつ官能的」「耳障りがよいのに変なメロディー」という言葉が、彼を語る言葉のなかでもとりわけ頷いた部分でした。

*1:マクミラン版のバルコニーの終わり方はちょっとフラストレーション溜まるよね。でも、ロミオのバリエーションだけ観ればマクミラン版も好きだな。マキューシオの死に関しては、クランコ版圧勝!マンドリンを弾くマクミラン版じゃあ、この世を滑稽にする“道化”らしさがちっとも感じられないYO!

*2:マクミラン版はスカした感じでちょっと厭。