ドラマティック・バレエについての色々

自分は少女漫画読みの所為か題材としてのバレエにはとても興味があるし、踊り方も遺伝子のどこかにダンス・アカデミックが刻み込まれているとしか思えないほどのシンクロを感じるのだけど、いまいちバレエはしっくりこないなーという感じで見逃してしまっていた。ロンドンで見たミュージカル4作品のうち3作品はどれもそんなに面白くなかったのに、『オペラ座の怪人』という奇跡のような作品一点に心底骨抜きにされ、その所為でミュージカル全体が好きなんだと思い込んでしまった。それからミュージカルをやたらみたけど、面白いというわけでもなかった。ALW作品ですら、『オペラ座〜』に匹敵するというわけではなかったという。EVITAはマドンナが最悪だったしとてもつまらなかった。だから、多分これからは、まだ未見のLION KING, RENT, WOMAN IN WHITE, あとLES MISELABLESを観るくらいしかしない気がする。あ、ASPECTS OF LOVEもやるらしいから観に行くかも。
そんでもってじゃあこの情熱をどこに持っていく?ということになって、オペラは「ニーベルングの指環って漫画の方が楽しいよね」とか思っている不届きモノだし(アハッ)、観に行ったら観に行ったで寝ちゃうし(だってぇ)、じゃあバレエ?と思っても、バレエも年間4,5本見てるけどしっくり来ないなぁーって思っていた。バレエを見るならモダンよりもダンス・アカデミックに則ったものの方がアクロバティックで好み。だけどバランシンはあんまり好きじゃなかった。かといえどもプティパはどうも古臭いし……たとえば『眠れる森の美女』の3幕みたいな技の品評会みたいな雰囲気が踊りとしての意味がさっぱりわからず苦手だった。
で、これは町山智浩さんが言っていたことだと思うけど、『マトリックス・リローデット』は、ストーリーはディスカッションで進行し、ストーリーとは関係のないアクションシーンによって構成されていると。これとプティパのバレエってそっくりだと思う。ストーリーはマイムで進行し、踊りの部分が肥大化していく。グラン・パ・ド・ドゥなんて形式まで表れて、バリエーションだのコーダだの……そんなの、どうでもよくない?ってどこかで思っていた。
たしかに『ロミオとジュリエット』はマイムが多め、という難点はあったけど、踊りに形式的なものだけじゃなくてちゃんと意味があったと思う。とりわけマクミラン版のベッドルームでの別れを惜しむフェリの演技は見事(踊ってるのに!ピルエットしているのに!)。なんていうか、まさにコレ!なんですよ私が観たかったのは。幸せっす。