最強伝説黒沢 1,2 福本伸行

  1. ISBN:4091870414
  2. ISBN:4091870422

はっきり言って、面白くなかった。
というか、私がこのマンガを面白い、というのはこのマンガに対する冒涜な気がする。そもそもナインティーンの夢あふれる腐女子なオイラはこの設定についていけず(想像力の欠如により日常的舞台装置を読むときどうしてもジブンがくっついてきてしまう)。
一応お金も職もあるし、シンガー(独り身)だけどそんなに身に沁みるほどでもない、受験は全部第一志望通ったし、私はこのマンガに共感できるところが、ちょっと少なめ。なによりも、私が黒沢よりも不幸でないという証明に持ち出してきたのが、「受験は全部第一志望通った」なのだ。この薄っぺらな人生(笑)!圧倒的に人生経験が足りないのだ。危機感…危機感が決定的に足りないのだ…!(ちょっと黒沢風)
でもスゴイパワーをもったマンガだなとは思った。山岸さんにも感じるけど、ちょっとしたつまらない話をドラマティックに仕上げるのが上手な人。そして、これを読んだ時の反応にとっても困るマンガ。例えばジャガーなら笑えばいいし、NANAならムカつけばいいんだけど、このマンガを読んだ時沸き起こった感情に名前をつけるのは不可能だ。当然、哀れみもあるし、笑いすらある。しかしそれは、ハマーさんを見て、「ああ、ダメ人間だなぁハマーは」というような生暖かい笑いではない、自分に帰ってくる嘲笑、自虐的な笑い。おまけに寂しくなるし苛苛もする。なんだか物凄いものを読んでしまった気がする。これを愛読するオトナにはなりたくないような気すらする、ダメ人間を描いた力のこもったマンガだった。