もっと報道しろ!2

ブラウン管の中に男がいる。
淡萌黄色に身を固めた京極だった。
黒い手袋に白い足袋。
淡萌黄色に黒を羽織っている。
前髪だけが黄色い。

ブラウン管の匣の前に座り、女は視ていた。若い二人の後をカメラが追っていく様を。男は気にも掛けぬ様子だが、女は気に掛かって仕様がない。京極堂は、芥川に似ているという。顎に手を掛ける仕種、骸骨のように細い顔立ち。しかしうら若き女がそれを攫っていく。
そうか。
女は不意に諒解した。
――こうすればよいのだ。
匣の娘(×3)もにっこりと笑って、「ほう、」と云った。ああ、生きている。