ふたつのスピカ 1〜5(最新刊)柳沼行 ★★★★★☆☆

小学生の時、私は天文学者になりたかった。毎晩ベランダに出て夜空を眺めたり、ベッドに入る前に木星の衛星の名前を暗誦したり。その頃はまだ木星の衛星は16個だということになっていた。メティスアドラステアアマルテアテーベ、イオエウロパガニメデカリストレダヒマリアリシテアエララ、アンナケカルメパシファエシノーペ。こうやって四つずつ区切って覚えたりしていた。それが今や、「1999年代に17個目の衛星(S/1999J1)が発見されてから、2000年と2001年に11個づつ、2002年に1個、更に2003年(1〜3月)には12個の衛星が発見されている。 この結果、木星は太陽系では際立って多い衛星の持主となった」とのこと。歳はとりたくないね。(日本惑星協会
そんな若い頃の宇宙への情熱を持ち続ける事の出来た少年少女たちに少しばかり嫉妬を覚えました。物語は良く出来ていて、ジーンと心に染み渡る感じ。宇宙への思いに共感して涙したり。それ以上に私は「もうひとつのスピカ」が好きで、ここまで真っ直ぐな感受性を持った作者さんだから、こういう物語が描けたんだろうと思う。ストレートに心に響く良作。