イヴの眠り 吉田秋生 1巻 ★★★★★★☆

なんか……表紙のアリサが頭でっかちに見えるのは気のせいですか?
物語はまだまだ序盤。しかも後日譚「魂送り」と、ケン・クロサキ元中尉とルー・メイの出会いを描く「ハウメアの娘」があるからイヴ〜本編は二話しか入っていないという。今のうちに夜叉を読み返せと、そういうことですね吉田さん。読みます、読ませていただきます。
というのも、私は最近の吉田秋生さんについて否定的な意見を何度も何度も述べてきたのだけど、これが「魂送り」そして「ハウメアの娘」の二編でかなり解決されたんです。具体的には、吉田さんの描く「家庭」と、セクシャリティの問題の飛躍についていけなかったのですね。この二編がとても良い。
「魂送り」では、母の受容がひとつのテーマになっていて、アリサという娘が生まれることで、夜叉という作品全体がもう一度再生していくのがなんとも心地よい。そして「ハウメア〜」でのルー・メイは正に叶小夜子の進化系で、「トラウマに泥まない」というのは正にこのことを言うんだと思う。人を殺す(能力を持つ)ことでしかそれを体現できないのは問題かも知れないけれど。
イヴ〜は夜叉の完全なる続編なので、まず夜叉から読むことをオススメします。ラストのページに人物紹介が載っていて、「光の庭」の暁と、シン・スウ・リンの結婚式の様子が載っている。結婚式の頃はまだカッコいいんだがなぁ。
以下、吉田秋生について触れた文。

  1. id:lepantoh:20031120(吉田秋生作品の劣化、ACテーマからの離脱)
  2. id:lepantoh:20031217#p2(吉田スレ@少女漫画板の視点、女性性忌避、犯されたい欲望、性器を持った身体)
  3. id:lepantoh:20031215(24年組→性器を持った身体→チンポついた女?)
  4. id:lepantoh:20031216(BANANA FISHの構造分析・支配に対する抵抗)
  5. id:lepantoh:20031231(年末のアレ)
  6. id:lepantoh:20040106#p2(吉田秋生作品ととトラウマ)