原獣文書1〜5 なるしまゆり

面白い。
舞台は地球が奇病やら隕石やら地殻変動やら戦争で人口をぐっと減らした千年後くらい。天才レイ・ジーン・セイバーヘーゲンを筆頭に、千年放置されていた新大陸の調査に行く、という話。
その新大陸人というのが、無性体で生まれてくるのですね。性別は「運命の石」を握って決める。ところがレイ・ジーン博士とそのボディーガード村上が運命の石を握ってしまいさぁ大変。レイ・ジーンは男役、村上は女役になってしまい!?という出だしはまるで言い訳がましいやおいのようなんですが――。
面白いのが、運命の石で男役に決まったものは、二人が結ばれるまで相手の女の匂いで力を増し、逆に女役は力がぬけてしまうという設定。これは運命の石のカラクリさえ知っていれば男役になればパワーアップできるということなのですね。さらに原獣文書は「永遠輪廻のためのプログラム」だったり、新大陸人は巨大な個の一部、同一の遺伝子を持ったコピー体だったりと、ここでも散々指摘してきた生殖の実験を見ることができて、個人的には大満足なのですよ。
そういう実験を引き継いで描けるのは、この保守化した少女漫画界でなるり以外にみあたらんので、この調子でバシバシ描いていっていただきたいです。不死者あぎとも完結したし、読むか。