ラスト・サムライを誉める

アカデミー賞の行方も気になるところですが、最初は心底馬鹿にしていた「ラスト・サムライ」は私は面白く見れました。元はといえば、トム・クルーズCREAで「ここまでやってこれたのも、正直サイエントロジー*1のおかげ。武士道の教えである思いやり、忠誠心といったものは、サイエントロジーの教えと共通しているんだ」といったことを言っていた(参考)ので気になって見に行ったというのが本当のところ。つまりモノスゴい電波な出来であろうと半ば期待して見に行ったのですが……(笑)、結局、作り手の真摯な思いの伝わる、非常にいい映画だったのでした。
ひとつは、異文化交流モノとして面白かったこと。お互いがお互いの文化に触れ、尊重しあっているのを感じたし、例えばトム演じるネイサン・オールグレンは発音が聞き取れなくて「アルグレンさん」と呼ばれるんだけれど、そういうのを訂正しないところが、すごくいい。今、渡辺謙さんはアメリカで、上手く発音できないので「ケン・ワトナビ」と呼ばれているのだけれど、それと同じ感じ。あとは真田さんの、剣を通じてのコミュニケーションというのも面白かった。
もうひとつは、時代をうまく単純化して描けていた、ということ。これは、時代の狭間にいる二人の人間――オールグレンと天皇――を挟んで、里村ら新しい時代を担う者と、勝元ら古い時代を受け継ぐものが対峙していて、二つの時代を併せ持つオールグレンが、未だに自らの位置を把握できていな天皇に、「勝元の魂」であり「古い時代の良さ、侍魂」の象徴である刀を渡す、という構図が素晴らしかったのです。

*1:新興宗教。トラボルタもコレ