新選組!第25回 新選組誕生

光あるところ影あり 芹沢鴨との決別という特設ページ有。
あのね、最近新選組!が怖いんです。
自分の問題意識と被っていて。
この手のドラマがいっぱいあるなら、私はもっとドラマを見なくてはいけない。勉強不足を痛感するんです。
だから今回みたいなものっ凄い濃い回を見てしまうと多分この回の全貌は掴めてないんだろうなっていう気になって今三回目を見返しているところなんですけど。
うーん
うーん
うーん
とにかく「禁止」が目立つ回だったと思う。
永倉を呼ばないところから始まって、土方が総司に黙って聞いてろ、何も聞くなというところ、そしたらその総司がこんどはひでに出てくるなという、若いからといって知らされずにいた平助が、今度は野口に聞くなという、
問うな、聞くな
ところでただ一人誰にも禁止されていないのに目を閉じ続ける男がいる。
近藤勇だ。
芹沢を殺す手筈を話し合う4人の前で頑なに目を伏せ続ける男。近藤はあまりにも清い。他人が手を汚し続けているのにそれを直視できない。もちろんその他人――というか土方は近藤が手を汚さないからこそ好き勝手出来るのだけど。近藤の無垢と名誉を分け合うことで自分は何処までも黒く汚くなれる。
そして山南はそこまで近藤と自分を分かち合えない。だから新見が死んだ時には当然暗い面持ちになるし、自らの手を汚せない。自らの手が汚れるのを気にせずいられるほど(=原田佐之助ほど)馬鹿ではいられない。そうして山南は崩壊していかざるを得ない。
近藤は鬼になれ、と芹沢に言われる。
それは芹沢になれ、ということだ。
と思う。
芹沢の部分を受け継ぐということだ。「次は俺だ」「柄にもなく長生きしてみたくなったのかもな」「お前はもういい」、という芹沢。「俺の墓に入ればいい」という時の表情。「俺らしくねぇな」という時の表情。
 
だから今回一番の名シーンは、目を閉じ続けている近藤が、雷に照らされて目を見開くシーンであると感じる。

無垢である以上近藤は見据えられない。鬼にならなければ目を開けない人物というのも、いるのだ。
 
見ろ、お前が殺した俺の死を。俺は俺の死を見ている。なのに俺を殺すお前が俺の死を見ないなんてことがあってたまるか。お前は俺を殺す、お前を奉る4人の眼を通して、俺を殺すのを見ろ、鬼になれ、そうして俺を殺せ、殺すだけでは飽き足らず、俺を喰らいつくして俺の持つ病も夢も全て取り込んでしまうがいい。
 
もう一つハッとしたシーン。

総司:私も加えてください。芹沢さんは私が斬る
土方:無理すんな
総司:そうじゃない。あの人は私が斬らなくてはいけないんです。芹沢さんはそれを望んでる。私も加えてください。

総司:何も言わずに私の話を聞いて
ひで:沖田さん
総司:何があっても今夜は部屋から出ないようにして下さい
ひで:はい……?
総司:何を聞いても決して部屋から外へは出るな
ひで:何があるんですか?
総司:早く部屋へ戻れ!

芹沢が用意した、芹沢殺しの役目を負うことで、総司は大人になる。だがそれは、自らが土方に突きつけられた、「これから俺の言うことに、お前は何も答えるな」と一緒の行為である=「何も言わずに私の話を聞いて」。物分りが悪いひでに総司はついに命令してしまう=「早く部屋へ戻れ!」
平助の野口に対する態度も同じ。
 
お梅さんの心境の変化は解り辛かったかも。ちょっと早足すぎたというか、先週の総司とのやりとりの直後だからなぁ。多分お梅さんなりに死を予期してはいたんだと思うんだけど、一緒の墓に入ればいい、といわれて嬉しくなって、俄然生きる力が湧いてきたのか、それとも芹沢が死にそうだからこそどうにかして生きようとしていたのか。
とにかくあの死に様は総司にとっては物凄いショックだったでしょう。左之助に引きずられるようにして出て行きましたし。
 
うん。
父殺しでもあり、臍の緒切りでもあり。だからこそ今まで鴨の名前がふんだんに使われてきた題名も今回は
新選組誕生」
次回のタイトルは「局長近藤勇」だし。
 
皆が等しく汚れていくためのステップ
もしくは通過儀礼としての殺人by大塚英志って感じでもある。
次回に期待。