『ロミオとジュリエット』に会えない私

このドキュメンタリーをWowowで放送していた。
はっきり言ってドキュメンタリーとしては最悪のレヴェル。誰か新人ダンサーでもいいから主役を一人据えて、暮らしてるマンションや食生活なんかを追ってくれればよかったのに、ひたすら電話でパトロンとお金の話ばっかしているオバサンとか、ヨボヨボのおばあちゃんと振付師のバックステージトークとか、みんなで海辺でバカンスとか、つまるところ“バレリーナ/バレリーノ”特有のモノは全く見えないのがダメなんだと思います。死ぬほど退屈。ちなみに10月はパリ・オペラ座のドキュメンタリーをやってくれる筈。
それはそうと、私はバレエ音楽の最高傑作は“ロミオとジュリエット”だ!」という文句をそれはもう何度も何度も聞いていたのだけど、実際に音楽を聞く機会を逃したままだった。このドキュメンタリーには、A・フェリ扮するジュリエットが、かの有名なバルコニーでのパ・ド・ドゥを踊るシーンが収録されていて、一部ではあったが、ついにその最高傑作を耳にすることが出来た。
そもそも、私は半分音楽を楽しみにバレエを見ているようなところがある。バランシンの『セレナーデ』で、チャイコフスキーの四弦楽奏を聴いたときなんか、幕が開く前から涙していた。私なんぞに言われなくても、チャイ様&ストラヴィンスキーのバレエ大好きコンビはバレエ音楽界に堂々と君臨している。
しかし!
ここでロシアはおいらの脳に3人目の刺客を放った!
その名もプロコフィエフ!若い頃は前衛的な作風で知られた『ロミジュリ』の作曲者。
はっきりいって『ロミジュリ』の鳥肌度はハンパないっ……!恋と死という、二律背反しつつも親和性のある二つのテーマが音楽の中に絶えず共存しているのがわかる!どんなに恋の歓喜に我を忘れていても、その底で暗い闇の音楽がドシドシと足音を立てて迫ってくる!!見ているこっちとしては、「志村、後ろ、後ろ――!」ってな感じなのだ。
これを全幕で聞きたい!
金欠から今年はバレエ断ちをしていた私は、必死でロミオ&ジュリエットの公演を探し回る。
そういえば、今度行く予定のシンガポールで見れたような気がする!そう思って公演を探したところ、二日間だけロシアのバレエ団が演ってくれる!しかし――なんと空きがなくてキャンセルさせられた日程に、彼らが来シンするのだった。。。私たちは丁度そのカンパニーと入れ替わりにシンガポールに入ることになる。
だったら日本で見てやる!!と思い、シュッツガルト・バレエ団を発見!
なんと、ノイマイヤー、キリアン、フォーサイスの古巣という物凄いバレエ団だ!
http://www.nbs.or.jp/stages/0511_stuttgarter/romeo_juliet.html
しかし、なんとこれまた旅行の一日前の公演だった!疲労を残したくないし、お金もない。
それに、見ているとなんだか「オネーギン」こそシュッツガルトで見るべき演目だという気がしてきた。オネーギンは、ラストが好きで仕方がないのだ(オペラ映画しか見たことないけど)。あの美しいタチアーナが、美しいオネーギンを拒絶する瞬間の絶望!絶望!絶望!
あんなものをナマでみてしまったら1週間は寝込んでしまいそうだ。見たいけど。
 
ロミオはどこにいる。
学生券3000円を狙います。