本当に自分はアラブに関して無知だった。大反省だ。

アラビアのロレンス』は不思議な映画だった。「歴史的名作」という褒め言葉と共に、砂漠の美しさや音楽の荘厳さばかりが褒められていた。伝記モノとしては間違いも多いという。そんな頭でっかちで見始めたのに、なお、私はこの映画に対するはっきりとした態度を決めかねてしまう。なぜならわからないから。
砂漠、音楽、アラブの民族衣装。アカバの美しさ、ラクダの従順さ、カイロの壮大な建築。
そういうものに目がいってしまうのは、自分がその裏に流れる歴史の波を理解していないから。大体トルコについての知識なんて、親日国・シシカバブイルハンくらいのものだった。ロレンスについて知ると同時に、オスマン・トルコ帝国が500年にも渡ってアラブを支配していたことを知った。アラブから言葉を取り上げ、トルキィを話させた。それが話題にならないのは、支配されたのがアラブだから――。誰もアラブのことなんて気にかけないのだ。あの国ぐにはまだ犯され続けているのだ。
昨日のおとなり日記(コメント欄参照)をみて、はてなの中にも中東にちゃんと向き合っている人がいることが解った。なんだか、ものすごいショック。しかも、シリア(ダマスカスがある!)がアメリカの標的になるかも知れないという。そんなバカなことがあってたまるか。
私はロレンスがあそこまで苦労して作り上げたイラクが、今攻撃されてしまっているのかなぁと思うとすごく寂しい気分になった。単純にそう思ったんだよ。だから、何人もいるファイサルの中で、どれがあのファイサル王子なのか調べた。やっぱりイラクの人だった。それからクーデターが何度も起こって、2度成功した。だからファイサルの頃の王政と今のイラクは、まぁ、別の支配者による別の国。だからって、あの時の、ロレンスの時代のトルコは腐った鬼畜外道野郎どもで、そこから漸く勝ち得た独立だったんだと思うと、泣けて泣けて仕方がねぇのよ。いくらアラブが、民主主義に適していない人種だとしてもだ(それは私もそう思う。宗教や、家・部族文化など)。しかもアメリカはフセインを対イランの為に支援して、フセインバース党を作って、結果イラクは中東一の軍事国になったのだ。
こんな映画に影響されて、一晩ネットで文献読んだだけで言うことじゃないけど。なんでこんなことになっちゃったんだろう。イラク戦争、やっぱり反対。