んならなんで映画ファン名乗るのよと思った事

所謂映画好きとかいうものが本当に存在するのかどうかといわれればそんなのは存在しないんですけれども、私にとってはいつも映画見た時の感慨をぶち壊しにする知ったかぶりの映画を良く見る人たち、という集団が天敵であったのでした。そういうのを案山子理論というのかもしれませんが、そんなこと言ったらモヒカン族の方たちだってモヒカン宣言で偉そうなこと言ってる割に、ムラ宣言なんてものを偽造してニヤニヤしてるんだから、人は比較対象なしにはかくも自己を規定できない存在なのかと溜息をつく次第なのです。
で、この間学校の食堂で友達A、Bとくっちゃべっていた時、なんだか歴史の話になって、ダメ人間中のダメ人間なのに本だけは黙々と読んでいるというA君が少し知識を披露したのでB君は「俺こいつのこういうところが目茶目茶鼻につくんだよねw」などと冗談でいっていたのです。そしたら今度はB君がミニシネマの話をしだしたので「あたしどっちかっていうとミニシネマとか映研系のノリの方が鼻につくんだよね」といったらA君は「あーわかる」と同意したのでした。納得しないB君に対して「なんか映画好きみたいな人たちの知ったかぶりが嫌なんだよね。この間アンジェリーナ・ジョリーテイキング・ライブスみたんだけど、結構どんでん返しがあるストーリーだから観終わった後ネットでレビューを検索しちゃったんだよね。そうしたら、あんなオチは最初から読めてたとか無理があるとか、アンジーが脱ぐだけの映画とか書いてあって、そうじゃなかったのになぁって」と告白したら、A・B声を揃えて「あーあーあるある!それはそういうの(レビュー)を見るからいけないんだよ!」とたしなめられたのでした。私はいっつもこういうものを見ては苛々しているのは自分だけかと思っていたので、思わぬ同意が得られて逆になんでBはそれでも映画好きを名乗っているのかさっぱりわからないと思ったのでした。
 
ネットをうろちょろしていて映画評を見るとまずいいことはない、というのは不思議な現象で、imdbですらそうです。個人的には『シカゴ』の白鳥のシーンを「あれは笑った」と言っていた人がいたこと、『座頭市』のラストについて「最後の一言で市が盲目だと思う奴はバカか?目を開いていたのに石につまづくってことから来た台詞だろ」的物言いを見たことなど、とにかくなんか知ったかっぽい人たちが「俺は展開を読めた!」「あんたらにはわかんないだろうけどこれはこういう物語だったんだ!」をご開陳する場になっていて苛々します。その癖『オペラ座の怪人』が公開された際の「歌ばっかりですね……」的アホコメントにも苛々してはいるんですけど、誰にでも初めての時はあるのでそこは寛大になれる。