バルバラ異界(2)萩尾望都

表紙キレイだなーから始まる二巻。漫画ってこんあ単純なことからはじまる。アマゾンに画像がなくてガッカリ。まぁそのキレイな表紙の女の子が心臓食って眠っているお話なんだけれども。
 
萩尾望都にしては珍しく、父・時夫と息子・キリヤという二人の主人公が設定されている。徹底的に子供の立場から親側を糾弾してきた萩尾が「子供を捨てた親」の側に立つのは興味深い。そして時夫はなんか5本くらい抜けたキャラで面白い。
萩尾全開のキャラクター設定にどこまでついていけるか。圧巻はキリヤの母明美。まだそこにいたか、というくらい少女的。恐ろしい。息子の前で父親を否定し「私の運命の人は世羅ヨハネで…」とか平気で語りだす恐怖の母。そしてキリヤのとどめの一言。

うそだうそだ。だってぼくは あの女(母)の愛なんて信じられないこれっぽっちも!

またそれか――!!
キリヤは世界に絶望して架空の避難場所「バルバラ」を作り上げ、そこに逃げ込む。だがバルバラは別次元に実際に存在している。どちらが夢で現実なのかは、おそらくキリヤが何を選ぶかで変わっていくことであろう。彼は以前人を殺そうとしたことで、全てを失ってしまったと思っている。世界から弾き出された子供に青羽が提示する、火星での記憶の再現。「みんなが一つの全体で満ちていて、恐怖も飢えも孤独も知らなかったころ」。その全体=個である永遠の生命体を、キリヤは一度否定する。だが急に父親ヅラしてくる時夫を受け入れることも出来ない。じゃあ結果的にこの父子が和解すればいいのかというと、それはそれで地球の破滅が待っている。
どうすればいいんだってくらい謎が謎を呼ぶ第二巻。