なんだぁこの展開は? ツール・ド・フランス第12ステージ

カステルサラザン(Castelsarrasin)〜ラ・モンジ(La Mongie)までを走る鬼畜コース(見よ!)。平地で逃げが打たれるも、当然失敗するよねそりゃあ。お疲れさま。
雨がプロトンを慎重にさせたようで、最初の山では大きな動きはなし。ボエックラーが「ぼっぼくもうダメだ、ちぎれちゃう」「なぁんちゃって大丈夫、びっくりしたぁ?」のウザい一人芝居を続ける中集団は細かいアタックにも動じない。ベルトラン、ノバルといったランスのアシストがまず引き、落ちてもなおヒンカピーら四人がランスをアシスト。一方ウルリッヒ(TーMobile)にはクローデン、ハミルトン(フォナック)にはセビリャ他三人、CSC勢はバッソやサストレを含む四人(!)、そしてご当地バスク人チームエウスカウテルは、マヨ、スベルディア、エチャバリア。エラス(リバティ)ともアシストをつれている。さてさて山岳ポイントを取りにいくヴィランク。一位は逃げた誰か*1に取られた。そしてなぜか追い上げてくるモロー(!)はヴィランクがよそ見をしている間に競り勝ち(!)一級山岳ポイント2位をゲットしてしまう(!)。ヴィランク様の表情が「何やってんのこいつ?マジで」と物語っていたけどマジに山岳賞ねらってんですよこっちも!フランス色男決戦の火蓋が切って落とされてんの今この瞬間!ヴィランク様もモローをライバル扱いしなくちゃダメなのぉ!と思った。
さて、くだりでちょとハプニング。ウルたん、ボエックラー、マヨ、モローらとランスが分断され、集団が二つになってしまう。次ののぼりまでの少しの平地部分だったので、アシストの力を借りてあっさり追いつく。このときは胃が締め付けられる思い。
さて、ドラマ?は最後の山で起こる。ボエックラーが落ちる。ヴィランクも一緒だ(これは解る。彼は35歳だし、足を酷使しすぎている)、ハミルトンがついてこれない。そしてウルリッヒまでついてこない。エチャバリアも落ちていく。そしてスベルディアも。奇妙なことに、恐怖のふるい落とし作戦というわけではない。ランスは淡々と走っており、ランスの周りにはアシスト含め7人ほどいる。去年の15ステージ、リュズ・アルティダンに向かう登りでは、前を逃げるシルバン・シャバネルを追走して、ランス、ウルリッヒ、マヨ、ハミルトン@鎖骨ヒビ、そしてモローがいたのだ。山岳のステージではこのように、「オールスター集団」が形成されるのが普通。なのに昨日は、ランスと一緒にいたのはマヨだけ。しかも相当苦しそうだ。他はイヴァン・バッソカルロス・サストレCSCダブルエースと、フォナックが二人、あと誰か知らない顔。ランスが何も仕掛けないうちに、他の選手が全員遅れてしまったのだ。モロー先生の毒ガス★作戦かと思いきや、先生も(他のエースほどではないにしろ!)遅れているではないか。自分で吸うなんていうお約束を?
原因はどうやら気候にあったらしい。平地部分での大粒の雨は山では上がり、気温は18度から34度まで急激に上昇したという。今までの山でも30度ほどの気温しかなかったから、急に熱さに襲われて多くの選手がリズムを乱したのだろう。ウルたんの風邪が悪化したのかもしれない。
そんな中、サストレがアタック。この選手は、言うまでも無いけど去年おしゃぶりゴールした選手。他の選手が反応する。ところがランスはついていかない??何故?と不思議がる実況陣と私。
栗村氏「これはどっちなんでしょうねぇ、体力がなくてついていかないのか、それとも……(カメラバイクがランスの表情を捉える)……あー余裕ありますねぇ」
その時のランスの表情はあまりに余裕そのもの。息が全く上がっていない。最後まで引いてくれたアシストのアセベドも落ちた(アセベドはエラスの代わりに入った選手だけども、去年・一昨年のエラスの神業アシストを彷彿とさせるものがあった、ホント入ってくれてありがとね)。ここで、ランスもアタックというか追走というかカウンターアタック。彼のアタックはいつ見てもいい。まるで走っているような軽いギアで、回転数が物凄い。それに対し、ついてこれたのはウルリッヒのようなシッティング・スタイルのイヴァン・バッソだけ。サストレ・バッソ・ランスで、オレンジ色のバスク人観客を掻き分けていく。途中でサストレが落ちる。
バッソは走っている最中から何故かニヤニヤしていたが、ゴール前では既に物凄い笑顔だった。多分ランスとどこかで、ゴールに関する話をしていたのだろう。余裕のバッソ、今年のヴィランクと同じようなポーズで超笑顔のゴール。ランスはダンシングで、タイム差をこれ以上つけないようしっかり後ろについていた。二人が本気で争ってもバッソが勝った可能性は高かったが、ランスが譲ったという形。バッソもキアラ王子と同じく、Lance Armstrong FoundationのLIVESTRONGリングをしていた。
今日の一枚 ニヤニヤバッソ
バッソは本当に美人。良くも悪くも、三日で飽きそうな顔ではある(その点ヴィランクは不思議な顔をしているので、見ていて飽きない)。焼けている肌にシミはなく、J.Loもビックリの陶器のような質感。整った目鼻立ちに、とても薄い唇が清潔感を与えている。しかもスタイルは超抜群だ。イタリア人の26歳で、白ジャージはもう着れない年齢。去年はファッサにいた、オールラウンダーとのこと。
しかし、ランスヲチャーとしてみれば、今日のランスはなかなかなに空気を読んでいた。多分あの表情からすれば、余裕でもっと行けたと思うのだが、少し逃げただけで翌日争う余地を残してみたりしてる。13ステージのコースもまた鬼畜だが、鬼畜王ランスの出番になってしまうのだろうか。

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