漸く投票いたしましたわ文化庁メディア芸術祭10周年企画アンケート日本のメディア芸術100選マンガ部門

投票結果

マンガ部門 | 文化庁メディア芸術祭10周年企画アンケート日本のメディア芸術100選
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画像だらけでお送りしますのでアンテナから閲覧気分の方はお気をつけなさいまし。
さて、先日紹介してからというものすっかりそのままにしておりましたマンガ投票に、不肖ながら投票してまいりました。あまり悩むこともなかったのですが、好きな作家の代表作が私の意見と食い違うことが多く、色々と目をつぶる結果になりました。投票結果はこのとおり。

なんと私の大好きな『魔人探偵脳噛ネウロ』が選から漏れるというデッドヒート。どうも政治的なことばかり考えてしまい、娯楽大作であるネウロは惜しくも落選となりました。とりあえず、代表作の見解の相違が多すぎたため、投票したい作家を書き出して投票することにいたしました。結果お名前のあがった作家さまがたはこちら。

作家としては以上です。もちろん単体の作品として素晴らしいものがいくつかありますが(たとえば『西洋骨董洋菓子店』や『T・E・ロレンス』など)、そんなことを言っていても仕様がないのでこうなりました。
萩尾望都については、本音を言えば『残酷な神が支配する』をリストに加えるべきだと強く思っています。彼女の作品のノミネートは『ポーの一族』『トーマの心臓』に加え、何故か『百億の昼と千億の夜』を加える3作で、女性としてはおそらく最多なのでしょうが。この中で、好みでいえば『百億の昼〜』が好きですが、政治的な思惑もあり『トーマの心臓』を選択しました。その他、なるしま、いくえみ、佐藤がノミニーではないという関係から、自由枠の3枠がすでに埋まってしまい、他の作家はとりあえずノミネートされている作品を選択しました。評価と投票が完全に合致したのは冨樫の『HUNTER×HUNTER』のみです。佐藤史生については、『イティハーサ』で代替しようかとも思い直しましたが、お硬く真面目なイティハーサの真摯な魅力と、淡々飄々としてエスプリに富んだ佐藤史生ワールドの魅力はまた違ったものであろうと思い、佐藤さんのお名前で投票したく思いました。
そのあとこの文脈を補完するために『BANANA FISH』と『へルタースケルター』を選択しました。

面白かった点、ダメだと思った点

面白かったのは2000年代の「投票するべき作品リスト」です。私のような偏った漫画読みには到底つくることの出来ないものなので、リストをつくったこと自体が評価に値します。70、80年代の作品は文庫になっているもの、90年代の作品は論壇に上がるものを中心として、なんとなく私の中に名作のリストが存在するのですが、00年に関しては非常に難しいところです。よくよくみると、メディ芸の受賞&ノミネート作品が大半を占めているのが良くわかります。私としては、00年代を2分割して、メディ芸作品とそれ以外にわけ、メディ芸が機能しているかどうかを見るといったことをやってみるのも面白そうだと思いました。私が主催者ならやっています。
とりあえず、叩き台となるリストが出ることは本当に面白いことだと感じます。たしか『ヘルタースケルター』は90年代な気もしますが(発表が)。

気まぐれで少女誌の割合を調べてみました。

本当に適当なんですが、女性誌文化が衰退しているのかちょっとだけ気になったので、00年代の女性誌・非男性誌に掲載されたと思われる作品を調べてみました。実は、真面目にやっていないので、思い込みで少し間違いがあるかも知れません。

  • 結果、2000〜のノミネート52件中13件がおそらく非男性誌に掲載されているようです。25パーセントほどでしょうか。そのうち2件ほどは、少女漫画誌ではないと思われますので、それ以下ということが出来ます。ここでは、荒川弘さんなどの男性誌掲載者はカウントしていません。
  • ついでに70年代も数えてみました。45作品のノミネートの中20作品が女性誌掲載だと思われます(これまた詳細に調べていないので謎です)。ここでもまた高橋留美子さんや『百億の〜』は男性誌、逆に『パタリロ』は女性誌でカウンターしています。作家のセックスとは関係なくカウントしているということです(それゆえ間違いもあるでしょう)。パーセンテージでは45%ほどです。

まあ、そもそもなぜ00/70という切り出しなの?とか、準拠するのがメディ芸の(結果ならまだしも*1)リストってどうよ?っていう問いがあるので、あくまで参考程度で。


ただ、個人的な実感としては、批評の場で少女漫画を見かけることがとても少なくなってきたと思っていて、しかも私はそれに対して少女漫画の復権とかあらたな批評とかを全然考えていない人だったりするので、困ったなあというのはあります。何が困ったって、紳士淑女のみなさまが少女漫画を読んでいないと話が通じないじゃないですか。読んだ上での語りというのが非常にしづらくなる。そういう状況があるから、どちらかというと私のスタンスは、読み込むというよりは面白いものを紹介するというほうに流れがちで、その所為でいらぬ誤解を生んだりすることもなきにしもあらずだったりするのでございます。そのようなスタンスは少女漫画が現在置かれている状況に起因するのだという仮定が、今回の結果をみて少しだけ真実味を増したといったところでしょうか。


いや、ほんと少女漫画面白いですよ。オシャレだし表紙もかわいいし幸せになれるのです。オススメ?適当に過去ログ漁るべし(だって押し付けても意味ないでしょうし……)。

*1:3作品しかリスト外は選べないのでこれもなあ