一威の寂し笑いをモリエ笑顔と名付けたい−モリエサトシ『猫の街の子』レビュー

私の好きなモリエサトシ!を書いて以来案の定Google先生も御贔屓にしてくださっています(5番目)。はてなだからか、何故かけっこう検索上位に表示されるんですよね。モリエさんの記事に関してはそれを睨んで書きました。
さて、大きさも変わって月間になった『別冊花とゆめ』に連載された『猫の街の子』の第3回。私の予想では扉で単行本化の発表だったのですが、見当たりませんでした。どれだけ収録されていない短編があるのかと。うおー、はやく昔の作品が読みたいです!
さて、今回は一威目線で話が進んだんですが、とにかくたまんないんですよね。なにがたまらないって、一威みたいな(モリエ的)紳士で、(モリエ的)イケメンで、(モリエ的)女たらしなのに、(モリエ的)叶わぬこいばかりしているというところが。そしてその笑顔が。辛いことがあってもいつもほんわかと笑っているモリエヒーローの強かさにはいつも心惹かれます。そして今回は、その笑顔の「質」そのものが論点になっていて、ああ自覚的に扱っているんだなぁと感心してしまいました。
モリエサトシは本当に断絶を描くのが上手です。それゆえ愛も、また際立って美しく思えます。


扉絵の「彼の恋はいつも不毛だ」で既にもうなんか泣いた一本。