祝☆オスカー獲得! 「あの」ミュージカル映画を「400円」で好きな時・好きな場所で見まくる方法

Hi there!
わたしったら26日には新幹線の中にいたから、27日の夜にようやくアカデミー賞の授賞式を見ることが出来たわ。いきなりピーター・オトゥールから始まるなんていいセンスしてるじゃない、っていうかね、スコセッシがようやく獲ったことばかりフューチャーされてるけど、オトゥ様が逃したことには誰も触れないなんてちょっとひどいわ。ま、映画がね、公開されてないんだから、仕様がないけれど。
でもまだDVDスルーされるだけマシってものなのかしらね。授賞式が始まって、まず私の目を虜にしたのはダニエル・クレイグ(言っておくけれどあたしはBond Converterじゃないわ!ずっと前からダニエルを応援してたもの)だったけれど、しばらくして、ちらりと流れる映画の映像がまさしく電撃の様にあたしを打ったっていうか、なんていうか、「これはっっ!」って思った映画があった。わたしが映画監督だとしたら、ぜひ撮ってみたいと思うような、そんな映画。

そんでもってウィル・スミスとジェイダ・ピンケット・スミスのかわいすぎる息子、ジェイデン・スミスはセリフを間違え、しかもその賞――短編実写映画賞の受賞作がすぐに読めず、それがまたなんとも可愛らしかったんだけど、横のアビゲイル・ブレスリンが耐えかねて名前を読み上げた。「ウエスト・バンク・ストーリー!」
受賞したアリ・サンデルスというイケメンのスピーチがまた良かった。「これは、パレスチナイスラエルの平和をテーマにしたコメディです」短く作品を紹介し、そして早口で続けた。「これを見ながらアメリカの大半の人は、短編実写映画って何だって疑問に思っているでしょう。大体の場合、注目されたいと思う若い監督が作っていて、大きい映画会社の後ろ盾も有名な役者も必要な時間と予算もありません。だから、安い賃金かもしくは報酬すらないキャストとクルーの忍耐と強靭さとやる気と献身と忠義心に支えられているんです」。私はすぐにこの映画について調べ、オフィシャルサイトで20ドルでDVDを買えること、売り上げの25パーセントが中東和平のために役立てられることを知ったけれど、日本に配送してもらうのは難しそうだし、それにいまどきeメールで注文を受け付けていたので、10億人から注文が殺到していつまでたっても手に入れられないだろうと思ったわけ。
ところがYou Tubeのコメント欄をよくよく凝視してみると、なんとiTS USでなんとたったの1.99ドルで販売しているっていうじゃない。

West Bank Story

あらまあ本当に売ってるわ!
というわけで、早速購入&視聴することができました。アップルにこんなに感謝したのは、生まれて初めて。
内容は、もちろん『ウエスト・サイド・ストーリー』のパロディでもあり、またウエスト・サイド・ストーリーがロミオとジュリエットの翻案であるので、そういった感じでもある。ちなみに、「ウエスト・バンク」のバンクは銀行ではなく、土手や川岸のことで、西岸という地域のことを指す。振り付けもちゃんと著名な人がやっているようで、きちんとしているのよね。ちょっと歌が吹き替えめいていて良くないけれど、アラブのテイストを盛り込んだ楽曲は聴いていて本当に楽しいわあ。どちらの民族もきちんとリスペクト……されつつ、ちゃんと小馬鹿にされている。コメディだからね。
隣り合うファーストフード店同士の抗争でパレスチナ・サイドは火炎瓶の製作に乗り出す。
一方、イスラエル・サイドは壁を作ることにした。
パレスチナ・サイドが自爆テロを示唆していることは簡単にわかるけれど、イスラエル・サイドの壁作りも実際に行われていることを知っている人は意外と少ないんじゃないかと思うのよね。わたしも今年になって日本のメディアで報道されているのを一度も見たことがないしねえ。イスラエル西岸分離壁、別名アパルトヘイト・ウォール。→Israeli West Bank barrier
イスラエルパレスチナを扱ったものには鬱屈した暗くてシリアスなものが多かったけれど、コメディとミュージカルの力が平和と希望を表すのに力を貸してくれている。「解決法」を真面目くさった顔で熱弁するのでもなく、どちらかの横暴さを暴き立てるのでもないカラフルでちょっとおバカな中東映画。というわけで、オスカー受賞、おめでとう。


そういえば映画の中で「ユダヤ人が建設? そいつあ今まで聞いた中で一番面白いぜ! こりゃあいい」と大爆笑するシーンがあるんだけど、これはどういうジョークなんだろうと思った1本。


オフィシャルサイト West Bank Story ※音注意