アダルトチルドレンと言えば

そういえばすっかり書くのを忘れていたんですが、なるしまゆりの「少年魔法士」最新刊(ISBN:4403617336)を発売日に買いました!
実はこの話にもレヴィっていうアダルトチルドレンが出てくるんです。私は彼が凄く好きで。彼はお母さんに犯されるというモロな性的虐待を受けているのですが、誰かを積極的に愛そうとすることで自己を回復していこうとするんです。何度も言いますがACというのはとかく人を警戒したり憎んだりしがちなんです。でもレヴィは、同じ異端の能力持ちであるカルノと勇吹を愛し、守ることで社会へと回復していくんです。すごいなぁって思います。
でも彼はうまく友達になれないんですねーその二人と。そこらへんがアダルトチルドレンアダルトチルドレンたるワケなんですけど…特にレヴィは長年祭司として特別扱いされていたので人とうまく距離感が取れないし、年令もキャリアも二人より上なので今のところ指導役、保護者役という感じです。彼自身は「お父さん」役をやってみたいそうですが…。
今巻ではカルノとかなり近付けたようです。もともと勇吹はあまり警戒心のない人みたいなんですが、カルノはどーも彼を嫌っているようだったので安心しました。その代わり『レヴィが今幸せ過ぎて、ラスト不幸になりそう』みたいなレスを読んで恐かったです…。やめてくださいそういうこと言うの…。うーん彼には幸せになってほしいなぁ。なるしまさんがAC問題を自覚的に扱っていることを祈るばかりです。
 
反対に全然ダメになっちゃったのが吉田秋生です。
「夜叉」で嫌な予感がしていましたが、「イヴの眠り」もやはり夜叉の続編で超人モノ。今までの吉田秋生は「カリフォルニア物語」「河よりも長くゆるやかに」「吉祥天女」「櫻の園」「光の庭」と家庭とうまく折り合わないアダルトチルドレンを書き続けました。「バナナフィッシュ」「ラヴァーズキス」にもそういったモチーフは出てきます。吉田さんはそういった家庭を描かせたらまさに天才で、私なんかは「家庭の悩みは家族も友達もわかってくれないけど吉田さんはわかってくれる」なんて思い込んでいました。
ところが今、フラワーズでは静の娘アリサが元暗殺者のお母さんと血が繋がっていないお父さんと家族円満、ハワイで常夏ライフです。どうしてこうなってしまうのか。おまけに下着姿の娘に人の殺し方を教えるお母さん。ああ吉田秋生よカムバック。
仮定1.円満な家庭は人殺しの下にしかありえないという逆説的家庭批判
仮定2.AC問題はバナナフィッシュと光の庭で解決した
24年組アダルトチルドレンなんて言葉がない頃からその問題を描き続けてきました。それを今尚受け継ぐひと、描き続けるひとに対して、吉田さんが目指すところはどこなんでしょ?夜叉からはそれが読み取れなかった私です。