吉田秋生サイコウ2 まとめ

id:lepantoh:20031217#p2に出ていた

  • 「束縛からの逃亡・闘い」とか、「支配欲への反抗」「性的対象としてのみの愛からの逃亡」をセクスレスのアッシュでやるから意味があったんだと思う。
  • BANANAは普通に見れば抑圧してくる権威的な父親的存在から自立する少年の話だと思うけどね

といった論を肯定するための分析が出来てよかった。と思う。同時に

  • 何でもトラウマにして誤魔化してるけど、美しくなって犯されたい願望がすごく強いっていうか・・・他にもそういう漫画家はいるけど吉田さんの場合なんかすごく偏ってる。アッシュって性欲ないことになってて、だけど犯されてセックスするわけ。でトラウマってことしか残らない。虐待されることで主人公を魅力的に見せようとする。
  • たとえば美しさだったり、求めなくても手に入るセックスだったり、高い能力だったりをすごく感じるよ。欲に美しく化粧をしてる感じがする。

といった論に対して、魅力的ではあるがBANANAに関しては、違うのではないか?とはっきり疑問を感じることができるようになった。
BUT!!
そんな昔の話をしていても仕方がないのである。吉田秋生にはあと10年は頑張っていただかないと困るんですマジで。というわけで次への課題を提示して、このサイコウを終わりにすることにする。

160 名前:花と名無しさん [sage] 投稿日:03/12/15 13:21 ID:???

でも、それ以前に、昔の吉田秋生が書いたのって、家族の中での
居心地の悪さ、普通に見えるけど上手くいかない家庭、だと思うんです。
今までの作品では、家族間の軋みみたいなのが、必ず描写されてた気が…
でもイヴになって、「本当のお父さんじゃなくてもアリサを愛しているよ(ガシッ」
みたいな、根本的な転換があるなと思って。なんか違和感を感じるんです。
いや、家族が不和な方が納得できるっていうのも変な話なんですけど
(ぶっちゃけ160は私です…)

164 名前:花と名無しさん [sage] 投稿日:03/12/15 15:20 ID:???
>>125を書いた者です。
ラヴァーズキスってもっと普遍的な親子関係の悩み(>>160のような)で十分描ける話なのに、
安易に性的トラウマ(しかも当時ドラマや小説でやってたネタ)を使ってて描いてて
かなりショックを受けたんですよ。もしかして今までまじめに書いてるように見えたのも
ネタとしてオイシイからなのか!?とか思っちゃって。
作者にそういう傷があったとしても、長く生きてきたなら何かしら変化があるはずなのに
それを描かないのはなぜなんだろうと思ってみたり。
皆さんの意見を読んで、傷に執着するがゆえに劣化が始まっているのでは?

他に目を向けてくれ。イブが駄作になる(←ホモ・レイプじゃないから)と思ってしまいました。

そうなんだよ!実は、私が違和感を感じたのもラヴァーズ・キスだった。これは物語として素晴らしい構造・構成をしているし、3つのアスペクトからの恋愛だけで十分面白い話だったはずだ。姉妹間の感情の行き違いと理解、そして家庭への言葉にしがたい不安感。そういったものが十分に描かれているのに、(ネタバレ)そこでなぜか小学生のときレイプされたとか母親にレイプされたとかが出てきてしまい(レヴィと同じ設定なのになー)、物語のなかでこのトラウマ部分だけ完全に浮いてしまっている。

143 名前:花と名無しさん [sage] 投稿日:03/12/14 21:45 ID:???
吉田秋生は若い頃は全然パーフェクト願望じゃなかったよ。
登場人物が自分に近い頃、作者としての力があった頃は恭一
みたいな人物を描いて読者を惹きつけることもできたが、今じゃ
女好きのする美貌や知能指数や超能力みたいな記号でしか主人公の
魅力を表現できなくなってるということだ。

また記号化。そうなのだ。ラヴァーズの構成のなかで、レイプはなんとなく、記号になってしまっている。私にとってそれよりも、櫻の園の、「おませさんだね」のほうが猛烈に生々しい。果たして超人を主人公にして、吉田さんは何を描こうとしているのか。私には、それが見えてこないのである。
以下追加:トシちゃんはいった。「お勉強になっただろ?」と。そして深雪は「なりすぎて今日の授業は居眠り確実」だと答えた。吉田秋生は記号に頼らない作家だった。しかし今は…。
(ただし、私はこの人のもう一つのテーマ――補完関係の片方が永遠に失われる――について十分な考察を述べることが出来ないので、その点で夜叉の大事なところを見逃している確立は果てしなく高い。)