いつのまにか手塚治虫文化賞が発表されていた件

はてなブックマークでも全然話題になっていないし、普通に気がつかなかったのです。大賞は大方の予想通りまたまた『失踪日記ということで、3冠ですね、おめでとうございます。私は賞をとる前に先入観なしで読んだのですが、とりわけピンとこなかったのでどうしようと今思っているところです。正直古本屋に売ろうとしていました。ごめんなさい……!


それで去年に引き続き手塚治虫文化賞の存在意義がますますわからなくなる選考結果だと思いました。まず発表が遅い。去年の作品を5月に発表されても「あーそう」って感じです。実際、lepantohによる去年のベストリストとか上にあるのですが、今読むと去年はそんなこと思っていたんだなァって感じですもの。それがさらに他の賞と被っているのでなおいけません。しかもここ数年「文化庁メディア芸術賞」と被りまくっています。そのうえ「メディア芸術賞」は、神様手塚治虫の名を冠したこの賞と違って自薦・他薦で色々な国から応募できることもあり、間口が広く受賞作も多いので結果的に色々な作品が挙がってきているので、個人的にはこちらよりもはるかに魅力的なのです。たとえば今年なら『エマ』や『ドラゴン桜』、去年は『魔女』、一昨年は『ヘルター・スケルター』と『蟲師』、さらに一昨昨年はあの『セクシーボイスアンドロボ』など、私の好きな作品が名を連ねています*1。審査員さんはどちらかというと手塚治虫文化賞の方がなじみが深いのに、不思議なものです。結果、手塚〜の方は、いつも大御所さんや有名作品ばかりが一次審査に名を連ねている気がします。どれも好きで購読し、素晴らしい作家さんの作品ではありますが、なぜ『イヴの眠り』や『舞姫テレプシコーラ*2』といった大御所さんの最新作ばかりが毎年上位に来るのか、本当に今の漫画を読んでいるのか少し疑問になります。『NANA』や『のだめ〜』ならまだわかりますが、読者にインパクトを与える受賞とは思えません。あと、萩尾先生は毎年『リアル』に入れ杉。


もちろんひぐちアサさん、伊藤理佐さんの受賞には何の文句もありません。それ以上に吾妻先生の受賞にも文句はありません。ただ賞の存在意義が私のなかでどんどん小さくなっているということです。ちなみに第1回受賞者は萩尾望都で、そのことをよく引いていたので。


私が審査員なら、去年は1次審査で2位だった『ヒストリエ』に、今年は6位だった『もやしもん』にあげてみたいと思いました。なんだか講談社青年漫画贔屓な気もしますが。あとは、浅野いにおさんもどっかがすぐあげると思います。ちなみに、今年読んだ中で面白かったのは、『フラワー・オブ・ライフ』2&3巻、『HUNTER×HUNTER』23巻、いくえみ綾潔く柔く』、椎名軽穂君に届け』、モリエサトシの描いた『不埒なシスター』以下全ての読みきり、あと忘れちゃいけない『魔人探偵脳噛ネウロ』。
ついでにもう一言、こういう複合賞で、のだめやNANA以外の少女漫画がさっぱりあがってこないのはやっぱり寂しいなぁと思いました。

*1:いっておきますが私のセンスは俗っぽいです。知っています。

*2:今年は入っていませんが