半年で英語が話せるようになった私の勉強法(ついでにTOEIC Aランクも実現)

too many directions!!

前回の無言の日記−五月の庭 英語が話せる・書ける・読めるようになるための3つの能力では英語を勉強する上での思考法をご紹介しました。まとめると、英語を勉強する上での意識改革が非常に重要だということで、今まで英語学習に使われたカテゴリーを忘れ、総合的な能力を適性にあわせて選択することの重要性を説いてみました。今まで何度も勉強にとりかかろうとしては、もしくは既に取り掛かっているのに、失敗したり成果が出なかったり長続きしなかったのは、要はその方法じゃ成功しないからなんだと思います。「もっと努力すればこの方法でもイケた」と思うかもしれませんが、だとしたら、努力するための方法が足りなかったか、努力できないつまらない方法を選択しているのかもしれません。そのことを自覚すると英語学習が続くようになるかも知れません。
以下、あくまで「わたしの場合」ですが、参考になれば。



■冗談抜きで5文型からはじめました

TOEIC文法 急所総攻撃

TOEIC文法 急所総攻撃

TOEIC文法 鉄則大攻略

TOEIC文法 鉄則大攻略

当時は5文型を忘れていました。これはTOEIC受験者の中では有名な本。賛否両論ありますが、私は好きです。語り口調で読みやすい、章ごとにナイスな例題がついていてすぐに試せる、解答・解説も次ページで口語体、TOEICが好きな文法や語彙の情報も載ってる(たとえば仮定法現在とか)といった点で。2冊をたしかまる一週間くらいで終えた記憶があります。サクサク進むし、量もこれくらいでちょうどいいと思います。
他にもForestとかあるけど、あんな分厚くて参考書然としているものはとても出来そうにない。辞書として持っているのにはいいかもしれませんね。でも、私が辞書として持っているのはコレ。これまた有名。
Grammar in Use Intermediate Without Answers Reference and Practice for Intermediate Students of English
文法の勉強自体はけっこう楽しんでやってました。ちなみに、私がよくやる文法を忘れていないかどうか簡単に調べる方法は「代表的な、〜させるという使役動詞を4つ挙げてみること」。けっこうみんな3つくらいで詰まっちゃいますね。上記の長本本で紹介されている4つはmake, let, have, そしてgetでした。forceやobligeなど他にも色々あります。→Wikipedia : 英語の使役動詞



■「短文」のストック方法――とりあえずミュージカルと海外テレビドラマを見まくりました

Fluencyに直結するし、(今まで学校で教わらない分)効果もメキメキでるし、趣味と直結してて一番楽しい部分。その証拠に今でも続けてる。
さて、前回にも少し触れた短文のストック。言い回しを覚えて、あとは中の単語をとっかえひっかえ喋ると会話がスムーズに進むようになります。

フレンズ I 〈ファースト・シーズン〉 セット1 [DVD]

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(ちなみにこれは品切れ中)
なかでも、最近ソフトシェルが4話×3枚で¥ 2,615という激安価格で出された『フレンズ』は本当にオススメです。ジェニファー・アニストンは美しいし、脚本は最高に面白くて笑えるし、時には切なく、時にはハートウォーミング。アメリカの文化もたっぷりで、ユダヤ教にまつわるエピソードなども興味深いです。結婚や出産にまつわるエピソードは、今話題の代理母をはじめ、レズビアンカップルの子育てやシングルマザー、養子などかなり先進的で興味深いし。さらに、探せばスクリプトが簡単に見つかるのもナイス。普段は英語字幕でみますが、たまに日本語字幕や吹き替えで見て意味を確認します。たぶん、最初の方の話はスクリプトをそらで言えるくらい見こみました。といっても、2〜3回みて、あとは寝る前PCを触りながら後ろで流しておくだけでOK、自然と覚えます。分からなかったところだけ確認。
たとえば、レイチェルの"I was kind of hoping that wouldn't be an issue!"という台詞が最初の話に出てきます(話題にならないことを祈ってたのに……みたいな意味)。英語が全然できなかった当初は、この文章だけでいくつものハッとする発見があったものです。まず、過去形なのに進行形をつかっている。自信はないのですが、私は過去完了I have been hoping until now(今この瞬間までそれを願ってたのにいわれちゃった)をカジュアルに言ったようなニュアンスを感じ取りました。そしてkind of(みたいな〜、感じ〜って意味)の使い方。I'm kind of hungryとかHe's a kind of guy I dislike、といった、形容詞や名詞との組み合わせは思いつきますが、カジュアルな文脈では動詞と使うこともあるんだ!と目から鱗でした*1。そして、was doingのあとのwouldn'tという時制の一致や、issueのカジュアルな使い方も新鮮で、お気に入りのフレーズになり、"I thought it would be sunny today..."(晴れると思ったのになぁ……)みたいに活用してしょっちゅう使っているというわけです。
オペラ座の怪人 通常版 [DVD]

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それと、私の英語学習に欠かせないのがオペ怪。オペ怪を使って学習したのは確かですが、むしろオペ怪のために勉強したんじゃないのくらいの入れ込みようでしたね。ロンドンで号泣して以来、この歌を歌いたくてたまらなかったし、ふつうの台詞ですらほぼ全部そらで言えて、「プリマドンナ」の7人全員のパートも歌えるくらいの勢いです。といっても当時は映画になってなかったのでCDを聞いていて、しばらくして映画化されて7回くらい見に行きました。ほんと、英語圏の文化が好きなのはラッキーでしたね。
とりわけ勉強になったのは「プリマドンナ」の中での怪人の送った手紙。calls for=requiresの意味だとか、関係代名詞の使い方も勉強になりましたが、"Should these commands be ignored, a disaster beyond your imagination will occur もしこれらの命令が無視されたら、想像を超える災厄が起こるだろう"という一文はshold倒置(ifの意味になる)の勉強文として最適でした。



■只管朗読ノススメ――本当に多読は役に立つのか

と、このように色々なメディアを使って楽しくおべんちょうしていた私ですが、もちろん文章もある程度読みました。

It's Not About the Bike: My Journey Back to Life

It's Not About the Bike: My Journey Back to Life

やっぱりCDつきでしたけど! この本は本当に読みやすいし、勇気付けられるので好きです。ついでだからここからも印象に残っている一節を引いておきましょうか。"Why don't I wait for you at the door?(ドアのところで落ち合おう)"みたいな文章があって、Why don't Iは理解できないなぁと思ったのを強烈に覚えています。Why don't you〜?(〜したらどうですか?)とかWhy don't we〜?=Shall we〜?(〜しませんか?)は馴染めますけど。
多読法というのはSSS多読法をはじめ市民権を得ていますが、私は大学受験の時から只管朗読の方が効果があると思ってきました。私にチョムスキー生成文法に関するを暗記させた予備校教師の影響です。ポピュラーな多読法は、簡単な文章を多く読むというものですが、私に言わせれば、それはFluencyを助けるとは思えないため、ボツです。時間もかかるし、読むという受動的な行為だし、その癖してこれをやっていれば学術論文が読めるようになったり語彙がついたり話せるようになるわけでもないのに、なんでこんな勉強法が横行しているのか甚だ謎です。私はむしろ、適度に難しい文章を繰り返し読む只管朗読こそ、短時間で多くの効果をなす最高の勉強法だと思っています。
テキストは何でもいいのです。あなたが好きな文章。お堅い文章、エッセイ、ブログ、手紙、歌詞、詩、短くてもいいから、いろいろな文体を読んでみるといいと思います。そんでひたすら声に出してよむ。心のなかで読む。暗記するくらい読む。だいたい10回くらいよむと綺麗な抑揚で読めるようになり、20回くらいで体に染み付いてきて、30回くらいでたどたどしく暗誦できるようになります。暗誦できるようになってもストップしないで、時々思い返してみるとナイス。
ああ、これは最近やっていないなぁ、洋楽聴いているだけで。友達に詩をオススメしてもらったので、それを読んでみたいと思います。



■只管朗読&短文ストックはいつでも・どこでもできる――壁に話しまくりました

私が、「リスニング・コンプリヘンション」とか「グラマー」といった定義のかわりにFluency、Accuracyを採用する理由の一つに、そちらの方がより能動的であるという理由が挙げられます。電車の中でリスニングの勉強をしようとすると、iPod的なものが必要になりますが、ちゃんと集中して聞いているときばかりではありませんよね。それだったら、昨日みた映画の感想を自分なりに言葉にしてみたり(Fluencyの練習)、映画のシチュエーションを使って仮定法で文章を5つ作ってみたりしたほうが(Accuracyの練習)よっぽどためになります。
実際わたしには、英語の授業などで上手くいえなかった部分をその日の夜、いくつもの言い方でお風呂場の鏡や壁に向かって話しまくる習慣があります。最近、外国の人と話していて説明に困ったのは「一般職と総合職」「アニミズム」「京極夏彦」。次回はかっこよく決めたいものですが、難しそうだなぁ。



■DUO 3.0を使った単語勉強法――ディクテーションとKA式

DUO 3.0

DUO 3.0

単語はDUOを使いました。高校生の時は速読英単語を使っていたのですが、入っている文章があんまり好きではなくて、短文の多いこちらに切り替えました。ALL IN ONEも有名ですが、文法は別にやっていたのでこちら。CDは復習用を利用しました。
ここでも、短文をストックしたかったこともあって「ディクテーション」という音声を利用した勉強をしていました。ディクテーションというのは、書き取りのことです(詳しく知りたい方はこちらをご参照ください)。他に、シャドーイングという勉強法もあります。こちらはCDを聞いて追いかけ読みをするというものですが、私はこの教材でそれはあまりしませんでした。ディクテーションは冠詞や三単現、時制、構文などを思った以上に間違えていたことを発見させてくれ、結果としてボキャブだけではなく、アキュラシーの実力も得られたように思います。ただ、本当に時間がかかりました。1章に20分くらい。だから途中でギブアップしちゃったんですけどね。
それと、前回の記事を読んで「勉強法を追及する才能」がある人は伸びる、という風に取られてしまったら困るのでここでもう一度言っておきますが、重要なのは自分の才能を知ること、それにあった学習をすることで、勉強法の開発ではありません。私はそちらの方の能力は割と疎くて、そのかわり「ノウハウ本」みたいなのが好きだったので、いっぱい読んで取捨選択しながら試していました。
その中でも好きな考え方が英単語・英熟語の覚え方学習法−KA式。そうそう、一回で覚えようとしなくっていいんです。「見たことある」くらいで十分。一回その単語の存在を知れば、色々なメディアに接していくうちに必要な語彙力はつきますし、繰り返して覚えるほうが長期で記憶に残るからです。
あと、どんなに頑張ってもお手上げのものはあります。たとえば quote。ウィキクオートなど、日本語としても市民権を得だした「引用する」という意味の言葉ですが、これがTOEICに estimate(見積もる)の意味で出たことがありました。さすがにお手上げでしたね。


TOEICテスト900点・TOEFLテスト250点への王道 (Diamond basic)

杉村太郎式・単語勉強法――カードde暗記しよう

はいはいまたまた太郎です。この本には、英語を学習する上でのアツイコトバおよび精神論もいっぱい詰まっていますが、学習法にもすこし触れています。その中でも代表的なのがカード学習法。ここに、単語、熟語、文章などを書きこみ、いつでもどこでも参照せよ、そして完璧になったものから外していき、分からないものは何度も見て覚えろ、というものです。よくあるリング型の単語帳は、小さすぎるし、すぐ破けるからダメらしい。この勉強法はなかなか使えます。
私はとりわけ同義語をあつめたものを良く作っていました。たとえば「交換する」という言葉、あなたは何種類思い浮かびますか? change, exchange, tradeなどはパッとでてくるとして、switchやswap, barterがパッとでてこない、違いがわからないじゃないですか。そういう言葉を集めるのが何故か好きで、よくやっていました。英語だと、揚げると炒めるはおなじfryで、炊くと茹でるは同じBoilですが、逆に焼くは、bake, grill, toast, roast, broil, barbecueと無駄にいっぱいあるのとかが、楽しいんですよね。画像は「見る」関連の一覧で、gazeとstare、glanceとleafなどがまとめてありますね。バカですねぇ。こんなのもわかんない状態から始めたんですね。



TOEICは有効か?――点を取るためのテクニックがある

TOEICは就活のため、定期的にイベントをいれてペースを保つために受けていました。結果から言えば、よい指針になったと思いますが、連続で4回受けてもう飽きてしまい、受けていません。
点を取るためのテクニックは、TOEICにでそうな単語をテスト前に詰め込むこと、一部の形式の問題で先に問題を読むことなどなど。それで30点くらい上積みできる気がします。リスニングセクションの方が高得点が狙いやすいので、リスニングが得意な私はたまたま運がよかったのかも知れません。475/495点(=95%)ほど取ることができました。
2006年6月からTOEICは新形式に変わったそうです。偉そうなことばっかり言っているので、問題サンプル[PDF]があったのでためしに解いてみました。24問を20分ほどで解答した結果、21/24問正解(87.5%)ということで、何とか面目が保てた感じでしょうか。ていうか、一問、明らかなケアレスミスしちゃいました。

106. The recent worldwide increase in oil prices has led to a _____ demand for electric vehicles.
A. greater B. greatest C. graetly D. greatness

なぜか血迷ってBと答えてしまいました。朝4時だからなぁ。正解はA。冠詞がtheじゃなくてaだから。えー、こういう感じのテストです。それと、かなりのスピードが要求されます。リスニングは勝手に進んでいっちゃいますし、リーディングは100問を75分、一問80秒で解かなくてはなりません。


■知覚6動詞を使いまくれ!――六感の動詞を知っていますか?

さて、つまらないテストの話題なんか置いておきましょう。英語でスムーズに会話するのにとってもお役立ちな動詞、それが六感を表す知覚動詞です。

  • look(見える)
  • smell(におう)
  • taste(味がする)
  • sound(聞こえる)
  • feel(感じる)
  • seem(思える)

この子たちの優秀なところは、SVCの第三文型に使えることです。第三文型といえば、主語+be動詞+形容詞、You are beautifulみたいな文型のことを指しますが、そのbe動詞の変わりに使えるこの子たちは超おやくだち。Itを主語にしてあなたの感じたことを簡単に表せます。Itを省略して、Looks wierd, smells like a teen spirit, sounds odd, feels strange みたいに使えれば sounds like native。フレンズ第一話でも、「デートじゃないわよ! ただ会って、食事するだけ」「それってデートみたいに聞こえるけど」を、Sounds like a date to me. と答えるシーンがありました。
ただし、この場合の to me の使い方には注意。第ニ文型には for がセットになることが多いですが、知覚動詞は to と for を使い分ける必要があります。to は「誰誰はこう思う」という思う主体へ。forは、その言葉の対象へ向けられます。たとえば、The role looks perfect for him to me(その役は彼にとってピッタリだと、私には見えた)、といった具合の使い分け。もちろん To me は省略可。
面倒なときはこれだけで会話している気がします。


■英語が話せる苦労や弊害と、それでも英語を話せてよかったと思う瞬間

さて、最後に、英語が話せることの裏の面にも触れておきたいと思います。
英語が話せると、ある意味で人間は傲慢になります。実際、非英語圏にいっても英語が話せる人はいるので、英語以外の言語への学習意欲はおそろしく落ちてしまいましたし、また非英語圏であろうと英語でのコミュニケーションを相手に強要してしまいがちになります。苦労ももちろんあります。英語が話せると周りから思われているのに、期待に添えなかった場合。話せるといっても所詮、和製英語話者、帰国子女には敵いません。そんななかで必死こいて勉強し、通訳しているのに、裏では僻まれていたこともあります。また、私もふくめ日本人は英語に対し完璧主義者で、些細な間違いの揚げ足を取るのが凄く好き。クラスメートにそういうことばかりされたこともあります。私は、今の外国からきた友人たちと上手くやっていますが、これまた人間関係がこじれたりしたら、大変そうでもあります。もちろん文化の違いによる齟齬はしょっちゅう。
それでも、英語が話せて本当に良かったと思います。
杉村太郎は、「強烈にイメージしろ。英語を話しているあなたを」と何度も言いますが、その通りです。私も英語が話したくて仕方ありませんでした。なぜなら、私の中の非常に大きな要素としてassertivenessがあったからです。私はassertiveだという一点においては、あまり日本文化と気が合うほうではありませんでした。よって、別の言語空間を手に入れたことでの開放感は何にも変えがたいものがありました。もちろん、勉学のうえでも役立ちました。英語が話せるようになってからは、授業の選択の結果、11冊あった教科書のうち8冊が英語だなんていうこともありました。さらに言えば、情報収集においても役立ちますし、ニュースなどを見ることで、一段上の俯瞰的な視点を手に入れることが出来ます。
ここまで断言するのも何ですが、英語習得は私の人生において最も大きな意識変革でした。私という人間が二度目に生まれた瞬間だったといっても過言ではありません。英語を手に入れてから、世界に出ることを躊躇わなくなったし、また色々な国の友人が出来て、多様性とか異文化といった私の文学上のテーマに血肉を与えてくれました。それゆえ、私はそれらのテーマを語る時に、相手がいくつの言語を話す人なのかを注視する癖があるほどです。やはり、自分にとって一番のブレイクスルーを経験したか否かというのは、特定の話題に関する対話の場では大きな意味を持たざるをえません。
そんな英語シンパな私ですが、英語の小学校必修化論には必ずしも賛成しません。というか、それより中・高の英語改革の方が先に来るべきです。なんと、現在教職免許の目安となっているのはTOEIC730点です。これをクリアすると、一部の試験が免除される地域もあるそうですが、100点満点のテストで73点しか取れない教師に教わりたい人などいるのでしょうか。かといえども、「考え方まで英語に影響され、子供たちに悪影響が」とか、「まずは日本語、日本の文化を学んでから」という意見にも辟易します。私としては、小学校では学びたい子は選択できる環境を、そして中高では和訳の授業を入れるのが良いんじゃないかなぁと妄想しています。和訳っていうのは、日本語の知識がとてもいる作業なんですよ。誤訳の多さを知ることも、とてもいいことですしね。
と、色々と書き連ねてきましたが、心配になって英国人の友達に「ねぇ、私って英語はなせる? あなた、私と喋るとき、わざと簡単に話したりしてないよね?」と確認を取ってしまったくらい、本当はまだまだ自信がないのでした。精進精進。

*1:別のエピソードでは"I'm kind of using that machine"という台詞も。