2007-01-01 新年のご挨拶に代えまして 言葉 人間のいかなる出来事も、ひとつの意識の枠内では展開されないし、解決もされない。そのため、ドストエフスキーは、ひとつの意識の中への融合・溶解や個別化の解消を最終目的とみなすような世界観に敵対する。いかなる涅槃もひとつだけの意識にはありえない。ひとつだけの意識というのは、形容矛盾である。意識とは本質的に複数のものである。 『ドストエフスキー論――創作の諸問題』 今年も、わたしにとって多大な衝撃をあたえるこの一節と同質・同属のものに近しい文章を生み出していけるよう精進したいと思います。