折角なのでリンク先様への返答と意見表明を。

とまぁ、へタレな感じで事を終わらせてしまうのも卑怯で勿体のない事だと思いますので、もう少しだけ補足しておきます。
初めてお越しになった方々に広くダメっぷりを披露してしまいますが、私はあまり文学を読まないのです。漫画はそこそこ読んでいます。それと映画は人並みに見ます。ヴィジュアル系ラルク以外はそんなに詳しくないです。
私個人の関心としては、「今回の騒ぎを見るかぎり、文芸業界はまたもやくだらないスターシステムで延命を図るつもりのようにも見えます。もしそうだとすれば、僕はそれには軽蔑しか感じません」と芥川賞の騒ぎを清々しいまでにバッサリ切った東浩紀氏が、『ファウスト』には期待しているとのことで、「ほほう」と興味を持ったわけです。しかしその応募総体が「何となく向かっていたのはそういう世界認識」とのことで、文学側の"受け止め手"さんたちは、そのような古来よりある表象をどのように受け止めるか?ということに、漫画側の人間としては興味があったんです。少なくとも、漫画側の人間としては「見たことあるなぁそういう話…」でしたから。
そういった意味で、私こと触媒・二酸化マンガンは酸素を得ることが出来ました。例えば

東さんの指摘は、指摘の新しさを誇るのではなくて、むしろ、新しくはないけれども特徴的な性格が、最近の特定の分野に表れていますよ、というものであって、文学界の新しい動き(文学が世界の影の1つであれば、文学の新しい動きに表れた世界の新しい有様)を指摘することが目的だと思うので、東さんの指摘が「いまさら」だったり、文学界の新しい動きに表れた傾向が懐古的なものだったとしても、それに対して「遅」というのは、冗談や瞬間的な皮肉でないなら(って冗談である確率はけっこう高いのですが)視野と度量が狭いと思いました(勝手にw)。
つうか、痛覚の回避と露悪趣味、耽美の苦悩ですよ、問題は!!!
美しくはなれないさん
 
吸血鬼は現代の先端医学における倫理的諸問題を先取りした存在であると私も前より常々考えておりました。
臓器移植問題(そして移植に絡むドナーの適合問題)や、クローン、遺伝子組替、ナノテクノロジーなどの諸問題と吸血鬼の問題の親和性は高く、そしてそれに注目し続けてきたのがSF(ダン・シモンズの「夜の子供たち」等)であることを考えると、吸血鬼物の本当の流れとは単なるやおい・耽美物ではなく、エロティシズムも含めた上での身体の(情報)管理の問題であることは明白であり、そこに留意される東先生は、ほんとうに慧眼であるなあと心より感心致しました。
hirokiazuma.com/blog: ファウスト賞と血の交換のコメント欄のkagamiさん

など、「遅い、という指摘は無意味」派、もしくは吸血鬼はむしろ「先取り」派。
もしくは発熱地帯: 遅れているのはファウストだけな気がのような「文学じゃなくてファウストが遅い」派。ARTIFACT −人工事実−加野瀬さんの「男性が遅い」派。東浩紀の文章を批評する日記さんの「オタクに比べて表象が遅い」派。
そういう意味で私は「文学よりも漫画が早い気がしたよ」派です。あくまで気がしたよなのは文学読んでいないからです。*1

*1:関係ないですが、よくリンクを辿ってたどり着き読んでいた、美しくはなれないさんに初登場して、「視野と度量が狭い」とあっさり切り捨てられたのが私の人生の象徴的な一コマであるような気がします…フフフ。