EXILEさんのダンスはなぜあんなに格好悪いのか――So You Think You Can Dance Season 4
とにかくSYTYCDについて語らない限り、漫画については一言も書けない!
というわけで、求められているものは何かを自覚しつつ、それでも書くよ。Season2について昔かいた。
SYTYCDの信じられない振付家層の厚さ シルク・ド・ソレイユとABTも!
Mia Micheals(コンテンポラリー。代表作:セリーヌ・ディオンのコンサート、この番組でエミー賞受賞), Wade Robson(多方面アーティスト、Britneyや*NSYNC振付も、個性的), Shane Sparks(Hip Hopの神)……この3人がいれば、他に何もいらないではないか。
しかし残念ながら、Wade、Shaneの2人はグループダンスを一つづつ振付けたのみで、今回はペアには振付けなかった。ShaneのLyrical Hip Hopは1級品!Season 3のMake it Workとか何十回見たかわからない。WadeのAngel & Devil Danceも繰り返し見たなあ。Wade振付は、シルク・ド・ソレイユのCriss Angel's "Believe"からHomage To Rabbitsというダンスのゲスト公演によって見ることが出来たが。
しかし、Shaneを補うべくNapoleon&Tabithaという夫婦が新たにHip Hopを振付。ハズレ(1週目など)があるのがタマにキズだが、このルーティーンは実に美しい。リリカル・ヒップホップ。
映画「ゴースト」を題材としたストーリーライン、踊る2人の美しさ、選曲の妙もさるものながら、手の動きだけでなくステップや体の組み合わせを重視したヒップホップは評価高し。
さらには、私がYou Tube記法で初めて貼り付けたダンサー、デズモンド・リチャードソンが振付たパ・ド・ドゥが披露され、審査委員長のナイジェルは彼がいかに伝説的なダンサーであるのかをアメリカ国民に説いて見せた。(なんと教育によい番組なんだ)
今をときめくデヴィット・アーチュレッタ君の歌声にのせて美しすぎるPDDを踊る二人。Kateeは最終では3位だったけれど、テクニック的には今までのシーズンを見ても非常に恵まれ、かつ個性もあった。惜しむらくはHip Hopが下手なこと!上のゴーストのコートニーも未経験なのにそれなりに踊れているというのに。思うにHip Hopって一番難しいダンスのジャンルの1つだと思う。細かいギミックがものを言うしね。
さて、ここからは私の選んだベスト。
- ベスト・ルーティーン
ミア・マイケルズの作品。何度も見てしまう意外性、中毒性が、こんなにも静かでゆっくりとした踊りに入り込んでしまう不思議。Miaは本当にすごい。男性はマーク・カネムラというハワイの日系人ダンサーで、今回イチオシ。男性のいじけた少年らしい心情をMarkがヘンな鳥のような動きでよくあらわしている。
- ベスト・カップル
言うまでもなく、Mark & Chelsie。
ソフトヒップホップを踊っておけばNigelはおとせる。ワーカホリックについてのNapoleon & Tabithaのルーティーン。しかし2人とも同じようにHip Hopが下手なので、釣り合いが取れているという珍しい例。
- ベスト・ダンサー
Markと言いたいところだが、Kateeは上手かった。Season 3でも、応援していたのはSabraだが、一番上手かったのはDannyだった。
こう見ると優勝したJoshuaの方が圧倒的にヒップホップしているが、Kateeの演技力、身体のラインと動きには非常に個性がある。曲もGood!
- グループダンス豊作の年
鬼才Wade Robsonによる、オープニング・アクト。完全にハマっているMarkがみどころ。このリズムの取り方、意外性はWadeにしかできない。
フロー・ライダーの「エレベーター」を前奏のピアノ・パート重視でまとめたリミックスに、電撃のような音を入れてブレイクの要素を盛り込んでいるShane Sparks振付作品。
女性Hip Hopダンサーのコンフォートが男性に混じって踊ったり、センターを張っている。コンフォートは色々大変だったろうが、しぶとく残った。やはりHip Hopが踊れると強い。
ミア作品。お得意の異世界モノだが、ヘンな動きをしている人は意外と少ない。ここでもMarkとComfortは目立っている。衣装もバッチシ決まり、またスティックを使った独特の発想に目をむく。
FNS歌謡祭を見て、EXILEさんのダンスに目も当てられなかったのは、私だけではあるまい。あれならPerfumeの方が数倍面白みがある。
EXILEさんのダンスが究極にダサい理由。
- ソロばかり上手な人ばかりで、「群舞」というものを考えたことがない。ヒップホップだからといって、全員揃えばいいというわけではない。
- 「振付」を知らない。「振付」に無頓着。「振付」がTKの時代。「振付」に目新しさがない。「振付」が面白くない。意外性がない。
- 「拍」の取り方が一辺倒。曲のつくりにもよるが、メロディーラインにあわせて振付をするからダサくなる。打ち込み、しかもメインではなく挿入される細かい音を捉え、4拍子を超えたダンスをしないとだめ。
文句がある人は、ジャスティンのMy Loveと、ShaneのSexy Loveを見てから言うようにしましょう。
日本のダンス文化に幸あれ。そして数多くの人々を啓蒙し、ダンスの道を教え、ダンサーを育て、振り付け師を偉大にするSo You Think You Can Danceに乾杯!