入院しました

入院−2日目。
買ったばかりの自転車で、往復15キロ走ってみる。坂道はやっぱりつらい、ということを再発見した。大人になると、出来ないことが何なのか、それがなぜ出来なかったのか、分からなくなってしまい、何でも出来るのではないかと思ってしまうことがある。ミシンを手に入れて縫っていると、なぜ型紙通り服が作れないのか分からなくなって、自分はお針子になれるんではないかと思う。それでもすぐに簡単な縫い目を失敗して、その難しさを再度学習する。ミシンだけじゃなくて、ランニングでも、料理でもそうだった。だから自転車も買ったばかりだと、どこまでも走っていけるのではないかと思うが、案外あっさりとそうではないことを知る。
坂道を上っているときには息がぜえはあと上がっていて、これから入院するのに、こんなに運動してもいいのかと思うが、どこかで病気でも普通な自分を確かめたいだけなのかな、と思った。翌日足が筋肉痛になるかと思ったが、そんなこともなかった。太ももの筋肉が足りない。坂道でダンシングが出来なかった。


入院-1日目。
部屋の片付けが思い通りにいかない。スーツケースが広がっているので、邪魔なのだ。ゴミも、ガラス、缶、ペットボトルと分けて出すのだから結構な手間である。結局入院前日はずっと荷造りと食器洗いとゴミ捨てをしていた。床の掃除と冬服の整理はできないままだった。不安なのは腰椎穿刺だ。痛いというから。


入院1日目。
重いスーツケースを持ちながら、あわせて6回は階段を上った。駅にエスカレーターもエレベーターもついていない場所がこんなに多いなんて。今は歩けるからいいけど...。こんなのでパラリンピックやるの? そして日本人は、スーツケースを持って上がるのを助けてくれない。イギリスと比較したテレビの番組(イギリス人は本当に紳士なのか?という内容)をやっていたけど、紳士たちはもちろんのこと、向こうでは女性も助けてくれる。私も日本ではよく助けている。
窓際で奇麗な部屋に通された。相部屋だけど問題はない。
午前中1時間半以上問診をされてびっくりした。内容はいままでの病歴と病気に気づいた経過。自分でも忘れていたような、病院にかかった履歴をどんどんと思い出して、そんなこともあったな、と思う。こんなに問診をされるのは珍しいらしい。
ただマイヨ・ジョーヌのためでなく (講談社文庫)午後は知能のチェックと体力のチェック。ランス・アームストロングが、著書で脳の手術のあと、「ボール、ピン、道路」という言葉を覚えるように言われ、おかしいと思われたくないので必死に覚えたという話をしていた。私は「かお、きぬ、ゆり、じんじゃ、あか」を覚えるように言われ、暫くすると聞かれたが1つ忘れてしまっていた。しかし、知能はそれ以外問題なし。ここで、はっきりと劣っているひとは、そういう病気のタイプであり、今大丈夫なら今後も大丈夫だそうだ。体力の方はやはり半身がおぼつかず、片足で立つのが難しいが、この病気の中では極めて軽い部類に相当する。軽いことは嬉しいのだが、難病認定されるかどうかが分からなくなり、治療が始められるのか、不安になる。最後に、胸部、腹部、肺、腰のレントゲン。腰はルンバール(腰椎穿刺)に備えたものだという。恐ろしや。夜に、髄液が余ったら研究にまわす旨、女性が説明に現れる。そのときルンバールの詳しい説明を受けるが、骨に刺すのとは違い骨と骨の間に刺すのであまり痛くないらしい。7割の人は、注射と同程度かそれ以下と言う。本当なのだろうか。
シャワーも浴びることができ、夜は疲れてすぐ寝た。3時に起きたが、しばらくしてまた寝る。


入院2日目。
朝からルンバール。緊張するだろうということで眠気の副作用があるリラックス剤を打たれる。名前は不明である。筋肉注射だから痛いですよ、と言われ、確かに同心円状に2〜3cm痛い。しかし耐えられるレベルである。その前から私は眠くて仕方なかったので、眠気の副作用はすぐにはわからない。看護師によると強めの安定剤。一体何なのだろうか、モルヒネ? その後腰の麻酔。麻酔はチクッとする。その後針をさされたらしいが麻酔と区別がついておらず、ルンバールの針の痛みはいっさい感じなかった。上手い人は痛くないというのは本当だったのだ。頭痛防止のために細い針で長い時間をかけて取るという。30分くらいで17ml取っていた。刺している間も抜くときも無痛。これで最大の山場は乗り切った。その後眠くなってきて、1時間眠り、昼食を取り、2時間半眠る。その後ポカリスウェットを買って散歩をし、やや痛む腰のリハビリとする。医師に推奨されたのだ。
そして血液を10本くらい抜かれ、午後は心電図、肺活量、重心動揺、血圧脈は、脳誘導電位。脳誘導電位の足の検査は電気マッサージみたいのをつけられるが、ハンマーで殴られるように痛い、と言えば痛い。耐えられるけれどね。
こんなに細かく検査してもらって有り難いし、ルンバールが問題なく終わって、髄液もぱっと調べたところ問題ないようなので、ホッとしつつ2日目が終了。